Photos: Norio Rokukawa
明らかな誤審だったPKは不運だったものの、スコアだけを見れば1-3は完敗だ。ただ、今季最初の公式戦はG大阪にとって“豪華な練習試合”の側面を持っていた。本来は負け惜しみを好まない指揮官が「試合でしか試せないこともあるし、やってみて初めて分かることもある」と語ったのは紛れもない本音である。ACL初戦に向けてキム・ジョンヤを温存した一方で、完成度の高いJ王者に対して、連係面で未成熟なアデミウソンを起用して臨んだ。
しかし、前線からの守備はハマらず、アデミウソン、パトリックの両ブラジル人は60分間の出場でシュートゼロ。低調だったと言わざるを得ないが、「いまは新しい血を入れながら、レベルを上げないといけない」と言う指揮官にとって、チャレンジの選手起用でもあった。戦術パトリックと宇佐美の個の力に依存することが多かった昨季までのスタイルから脱却するために獲得したアデミウソン。
「この時期に100%フィットしているブラジル人は見たことがない」と言う宇佐美の言葉もまた強がりではない。「この結果を踏まえてACLとリーグ戦につなげていければ」(長谷川監督)。落とせない連戦で、ギャンブル的な起用をするよりは、早めに現状の立ち位置を把握できたのは大きな収穫だったと言える。
そして敗れたものの、攻撃面で昨季からの上積みを感じ取れた90分でもあった。「今季は戦力が増したので攻撃にいろいろなオプションが増える」と倉田が話したように、2点を先行された60分、長沢と倉田が同時投入され、反攻へのギアを確かに入れた。昨季までは広島のように人を割いて守るチームに対して先手を取られると、とたんに攻め手を欠いたG大阪だが、ベンチメンバーの充実は目に見える変化の一つ。名古屋とのこけら落としマッチで先発した藤本も、確かな力を持った新たな武器である。
「チームが変わろうとするときには、変化の前の苦しさもある」(長谷川監督)。大阪の雄はいま、産みの苦しみを味わっているだけだ。 ( 下薗 昌記)