Feature 特集

J開幕。今シーズンを彩る志士たち/MF 10 柴崎 岳(鹿島アントラーズ)

2016/2/26 11:30


Photo: © J.LEAGUE PHOTOS

新たな鹿島の1 0 番像を作り出す

 今季はスタートから意気込みが違っていた。昨季はアジア杯に出場していたため、そして一昨季は原因不明の体調不良に悩まされたため、ほとんどメニューをこなすことができなかった宮崎キャンプを、久しぶりにすべてこなして鹿嶋に戻ることができた。18泊19日というキャンプをなんの焦りもなく自然体で乗り越える。あと一歩まで迫りながら海外クラブからのオファーは届かず、モチベーションの低下が心配されたが、そんな次元の低いことに悩まされる選手ではないことをあらためて証明したキャンプでの姿だった。

 しかし、鹿嶋に戻ると練習から柴崎の姿は消えた。急性虫垂炎。いわゆる“盲腸”に襲われた柴崎は急遽手術を受け、全治4週間という診断が下された。根を詰めて準備してきた新たなシーズンは、一度リセットすることを余儀なくされてしまった。

 とはいえ、柴崎はすでに先週からランニングを開始。ゆっくり体と対話を重ねながら一歩一歩確かめるように走り始めている。腕組みをしながらチーム練習を眺める視線は鋭いままだ。そして、今週の水曜(24日)からは部分的にチーム練習に合流する回復の早さを見せている。戻ってくる時期は予想よりも早いかもしれない。

 柴崎離脱後、プレシーズンマッチを戦ったチームは思いどおりのサッカーを見せることができていない。ニューイヤーカップでは千葉に敗れたものの内容的には相手を圧倒していた。そうした戦いがここ2試合ではできていない。ボールの落ち着きどころがなく、攻撃にしろ守備にしろ臨機応変に戦い方を変えられる幅の広さも影を潜める。その背景には、新10番の不在が少なからずあるだろう。

 同じボランチのポジションには今季、湘南から永木が移籍してきた。昨年末、日本代表のミーティングに呼ばれた実力者だ。「競争は常にあると思うし、しっかり自分のプレーでアピールしたいと思う。しっかり開幕から試合に出たい」

 宮崎ではそう話していたが、二人とも開幕戦の出場は難しいだろう。しかし、今後も日本代表を意識する二人は激しくポジションを争うことになるはずだ。それがチームのレベルを高め、引いては日本サッカーの質を高めることにつながるだろう。

 パスを散らしてゲームを作るのが、日本で言うところの一般的なボランチ像だとすれば、柴崎は自身のことを「日本人にとってのボランチという枠にはあまり当てはまらないかなと思う」と捉えている。ボランチというポジションにもこだわりはなく「むしろ、そういうイメージを何も付けてくれないほうがありがたいくらい」と話す。

 では、どういう選手なのかと言えば、得点に絡むプレーができることが最大の魅力。自らゴールを決めるだけでなく、チャンスを演出できるアイディアと技術を持つ選手は限られている。その意味で、いまの鹿島において柴崎よりも10番が似合う選手はいない。スタートは少し遅れるかもしれないが、柴崎が新たな10番像を作り出すシーズンが始まる。( 田中 滋)


柴崎 岳(しばさき・がく)
1992年5月28日生まれ、23歳。175cm/64kg。青森県出身。青森山田中→青森山田高を経て、11年に鹿島に加入。J1通算141試合出場14得点。日本代表。

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