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J開幕。今シーズンを彩る志士たち/MF 10 柏木 陽介(浦和レッズ)

2016/2/26 11:30


Photo: © J.LEAGUE PHOTOS

浦和の太陽が迎える“ 第二のサッカー人生”

 それは昨年12月31日、天皇杯決勝のG大阪戦の前日だった。柏木は2日前の準決勝・柏戦で左ひざを負傷。攻撃の中心でありチームに欠かせない“浦和の太陽”がタイトルを懸けた決勝に出場できるかどうかは重要なポイントだった。「ギリギリまで粘る」。そう出場への意欲を見せながら、柏木は次のように話した。

「気持ちは出たいけど、俺は天皇杯がすべてだとは思っていない。もちろん出たい気持ちはあるし、活躍してヒーローになれるチャンスでもある。でも、今年で第二のサッカー人生が始まったようなもんやから、来年また良くなっていくために、本当に痛かったら無理しない」

 結果として柏木は決勝でメンバーにも入らず、チームは敗れた。その約2週間後の1月13日、16シーズンの新体制発表とともに背番号が発表されると一つの番号が注目を集めた。背番号10・柏木陽介。日本人として背番号10を背負うのは今季から仙台のコーチを務めることになった福永泰氏以来、クラブ史上二人目だった。「2年目のときもロビー(ポンテ)がいなくなるときに『10番を着けたらどうか』と言われて『10番はいいです』と断って、昨年も空いていたので『どうや』とクラブから言われたけど断った」。10番は前所属の広島やU-20日本代表で背負ってきた番号。しかし、浦和に来てからは「8番にこだわりがあった」。それでも、10番を背負う決断した理由、それは「タイトルを獲るために一つ変えたいと、自分の中で変化を与えたいということ」だった。

 そして迎えた新シーズン。率直に言えば、開幕前のキャンプでの出来は散々だった。左ひざを負傷した影響は大きく、最大の持ち味であるキックの精彩を欠いた。前線でのチャレンジならまだしも、自陣でのつなぎでらしくないミスを連発した。2月12日の長崎との練習試合では自陣でパスミスをしたあとに後ろから相手を倒してPKを与えた。

 ただ、柏木に焦りはなかった。2月1日に合流してから16日間で5試合。その間のオフは1日のみ。ほとんどが午前、午後の二部練習というハードスケジュールだったこともあるが、柏木はいま、何をすべきかを考えながらプレーしていた。「無理に上げたくなかったので、ちょっとずつ上げないといけない。これからかな。開幕に合わせてという形でやるよりはコンディションを上げながらけがをしないようにして、より良い状態で試合に臨みたい」。

 日本代表にも復帰し、“第二のサッカー人生”を迎える柏木。浦和では10番を背負い、さらなる活躍が求められる。そんな彼にチームが期待するのは“タイトル”。「自分らしいプレーをして、なおかつそれがチームの優勝につながれば『あのときの10番は柏木だったな』と思ってもらえるような1年になると思う。自分にプレッシャーを掛けながら楽しいシーズンを送りたい」。その背番号とともに浦和の歴史に名を刻むべく、柏木の新シーズンが始まる。( 菊地 正典)



柏木 陽介(かしわぎ・ようすけ)
1987年12月15日生まれ、28歳。176cm/73kg。兵庫県出身。御津中→広島Y→広島を経て、10年に浦和へ加入。J1通算276試合出場45得点。J2通算31試合出場4得点。日本代表。

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