狭くから広く―。柏の攻撃はピッチの使い方が昨季と逆になった。選手同士の距離感が遠くなることで少ないタッチ、速いテンポのパスワークは難しくなる。ミルトン・メンデス体制になって増えたアクションがドリブルだ。
ただ、大谷は「大津やエデルソンがウイングバックに捕まえられてしまっていた。もう少し中に入って柔軟に、ウイングバックと3バックの間でプレーしてもよかった」と浦和戦の展開を分析する。外に広がった守備に対して、柏の両翼は詰まった状況になっていることが多かった。柏はほとんど良い形を作れないまま前半を終えることになった。
後半に入ると二つの理由で柏のチャンスが増えた。一つは中2日でこの試合に臨んでいた浦和が明らかに間延びしたこと。今季から右SBに挑戦している伊東は「敵が突っ込んできていたので、そこをかわしたらスペースがあった」と相手の守備を振り返る。伊東はDFに転じてまだ1カ月で、高速ドリブルに強みがある。彼は自陣深くからでも“勝負”を選択し、後半には30mを超すようなドリブルを複数回成功させた。浦和のファーストディフェンスは後半もなお果敢だったが、そこを外しさえすれば中盤が大きく空いている。64分の同点弾も、彼のロングドリブルが起点だった。
二つ目の理由は“内側”をうまく活用できたことだ。伊東は「ウチのサイドハーフが(外に)張っていたので、相手もサイドに張っていた。だから中が空いていた」と浦和のスキを振り返る。昨季の柏はSBがサイドハーフを内側から追い越す“インナーラップ”を多用していたが、メンデス監督が指揮を執るようになって、そのような動きは激減した。ただ、大谷や伊東が言及するように、相手が変われば活用しやすいスペースも変わる。指揮官がどこまでそういうプレーを許すかという別の問題はあるが――。臨機応変に内側を生かすプレーの重要性を感じた、柏の開幕戦だった。 ( 大島 和人)