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J2で培った粘り強さとあきらめない姿勢
戦前の予想どおり、ボールを掌握し、主導権をつかんだのは浦和だった。しかし、それは磐田も織り込み済みで、守備の対策は綿密に練っていた。「ボールを“回される”のではなく“回させている”状況を作りたい」と大井が話していたように、磐田はブロックを形成し、浦和の攻撃を迎えた。サイドチェンジに対しては迅速にスライドし、最も危険な中央のエリアではCBとダブルボランチが体を張った。
すると30分、後ろの頑張りにベテランの太田が応える。浦和のバックパスに突け込んだ背番号9は難しい体勢から左足でネットを揺らし、磐田に貴重な先制点をもたらした。
ビルドアップのミスが目立つ浦和だが、ビハインドを許したまま黙っているはずもなく、徐々に攻撃のギアを上げていく。最前線のズラタンを中心に分厚い攻撃をしかけると78分、ついに磐田の守備網を突破する。味方とのパス交換から柏木が芸術的なミドルシュートを決めて試合を振り出しに戻した。
磐田がこのまま試合を終わらせようとしていたら、次のゴールは浦和が決めていたかもしれない。だが、J2の戦いを経て粘り強さとあきらめない姿勢を身に付けた磐田は、最後まで勝ちに行った。そして82分、途中出場の松浦が左サイドで時間を作ると、小林を経由し最後はジェイが体ごと押し込み、決勝ゴールを奪った。
試合前は、多くの人が浦和の勝利を信じて疑わなかっただろう。しかし、ホームチームは攻撃でミスを連発し、失点シーンでは守備陣の致命的なプレーが重なった。浦和が敗れたこと、磐田が勝利を収めたことは決して偶然ではなかった。(青木 務)