Photo: Atsushi Tokumaru
好ゲームを演じながら勝ち点を得ることができず、2試合連続でセットプレーから失点したことを問われたマッシモ・フィッカデンティ監督だったが、その回答がなかなか伊達だった。「このままのペースでいけば年間の失点は『34』なので、悪くないと思う」
昨季、鳥栖が喫したリーグ戦の総失点数は『54』。劇的に守備力を立て直しただけでなく、攻撃でも主導権を握る戦いをこの試合では見せた。チームを率いてわずかな期間で守備を立て直した手腕は正しく評価されるべきだろう。そうした手ごたえがあるだけに指揮官は「勝ち点がない状態で鹿嶋から去らなければいけないのが残念」と悔しがった。
まだ未完成と思われた[4-3-1-2]だったが、ディフェンスラインの押し上げや鎌田の守備センスによってコンパクトな陣形を保ち、鹿島にスキを与えなかった。中盤を3枚で守るため、この布陣の弱点はサイドチェンジだったのだが、その担い手である小笠原や柴崎にパスが入ると、トリプルボランチが押し上げるだけでなく、鎌田が下がって挟み込むことで大きな展開を許さなかった。「鹿島に来てもしっかりボールをつないで、ただ蹴るだけのサッカーではない、やりたい形でやろう」
そうした指揮官の意図の下、アンカーの位置で起用された岡本も持ち味を発揮して、主導権を握ることに一役買った。
もちろん、セットプレーの守備やGKにまでプレスを受けたときの対応など、修正点はいくつか見られた。しかし、ハードワークがベースとしてある鳥栖と、フィッカデンティ監督の[4-3-1-2]の相性は抜群。戦術理解とチームの練度がさらに深まれば、リーグをかき回す存在となりそうだ。 (田中 滋)