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[広島]偉大な記録のその先へ FW 11 佐藤 寿人(サンフレッチェ広島)

2016/3/9 16:30



ついにこの瞬間が訪れた。6日、J1・1st第2節・名古屋戦、
広島のFW佐藤寿人が中山雅史(沼津)の持つJ1通算最多得点記録を更新した。
ただ、佐藤はその喜びにひたることなく「159ゴール目を決めたい」と語った。
158得点はあくまで通過点。彼のゴールへの追求はまだまだ終わらない。

Jリーグ史に佐藤寿人の名前が燦然と刻まれた。


 J1通算最多得点は中山雅史(沼津)の記録を抜いて歴代1位となる158得点に到達した。この158得点という数字は、たとえば15得点を10年続けても届かない数字である。中山は6シーズンで二ケタ得点を記録し、1シーズンで36得点という爆発力があったため157得点目まで到達した。佐藤は10シーズンで二ケタ得点を挙げ、そのうち5シーズンで15得点以上を奪った。ハイスコアは広島に初優勝をもたらした12年の22得点である。信じられないような安定感を誇ってゴールを奪い続けてきた佐藤のストライカーとしての素晴らしさを、いまさら列挙する必要もないだろう。元チームメートであり、大記録を目撃した二人の指揮官も「コツコツとずっと努力を続けてきた」(森保監督)、「何が劣っていて、何が相手よりも秀でているのかというのを、非常によく理解している」(小倉監督)とこの記録が佐藤の努力の賜物であることを強調した。

 佐藤は不断の努力と卓越した思考力によって傑出したストライカーとなったが、その思考力は佐藤が“ない”モノのほうが多い選手だったからこそ養われたモノである。身長は170㎝。高さはない。特段スピードに優れているわけでもない。ドリブルで相手を翻ろうするテクニックも、相手の虚を突くようなパスセンスもない。「この世界で生き残っていくには考えるしかなかった」から、佐藤は佐藤にしかない武器を身に付けてゴールネットを揺さぶり続けてきた。

 プロ17年目のシーズンも、佐藤はどん欲に成長を追い求めている。もうすぐ34回目の誕生日を迎え、「ベテランって呼ばれるのはイヤだけど、それはしょうがない」と笑う佐藤は、「年齢を積み重ねていっても成長できる。それを証明するためには数字が一番説得力がある」と力強く語り、今季をスタートさせた。チーム内には日の出の勢いで成長を遂げる浅野がポジションを争うライバルとして台頭している。これからはポジションを譲る試合も出てくるかもしれない。佐藤が歴代最多の得点を積み重ねられた理由の一つは、純粋にFWとして歴代最多の試合に出場しているからでもある。継続してピッチに立ち続けて結果を残してきた佐藤にとって、これからゴールを積み重ねていくための障害は多くなるだろう。チームメートとともに築いてきたコンビネーションも、選手が代わっていくことによって構築するのが難しくなっている。

 だが、佐藤が立ち止まるときは考えることをやめたときだ。「どういう形でピッチに立ったとしても、ストライカーにとって一番大事な仕事であるゴールを決めていきたい」と語る佐藤の目はいまもギラギラと輝いており、思考力は年齢を重ねれば重ねるほど深みを増す。たとえどんな役回りを与えられても、佐藤はその役回りでどうやったらゴールを奪えるかを考え続け、ゴールを奪い続けるはずだ。「ベテランならではのプレーも見せていきたいね」と笑う佐藤から、これからも目を離すことはできそうにない。 ( 寺田 弘幸)

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