Photo: Norio Rokukawa
スペシャルな二人の力。川崎F、09年以来の首位
長らくチームを支え続ける川崎Fサポーターにとっては見慣れた光景かもしれないが、こういうシーソーゲームはいつ見ても心臓に悪い。ただ、勝ちは勝ち。3節を消化したに過ぎないとはいえ、09年以来となるリーグ単独首位に立ったことを、ポジティブに捉えておこう。「首位にいて悪いことは何一つない」。この日の勝利の立役者である中村もこう言い放った。
開始6分にエウシーニョが中村とのワンツーから左足でネットを揺らし、その後もボールを圧倒的に支配した川崎Fは“余裕モード”で試合を進めた。しかし、まったく相手に触らせない中でも、26分に一つのサイド攻撃から最後は松田に決められ同点とされ、63分には永井の個人技を前に安々と逆転弾を許した。「早い段階で点を取れて、自分たちのリズムでやれているときの失点」と谷口は語ったが、結局のところ、リズムが良くても1点しか取れなければいまの川崎Fにとってはセーフティーリードではない。そこから畳みかけて相手の戦意を喪失させるくらいの“容赦をしない”姿勢が欠けていた。相手のギャップを面白いほど突けていたにもかかわらず、「自分たちが1点取ったあとにやめてしまったのが悪かった」(中村)。
速さの永井と高さのシモビッチという突出した武器を持つ相手を止めるのは容易ではない。だからこそ早急にリードを広げることは必須という認識はあったはず。川崎Fは自ら首を絞めたと言っても過言ではない。ただ、ビハインドに立たされた中でも2点をもぎ取れるのがこのチームの強み。エリア内での動きを相手に制限されながらも点を取る大久保、そして鍛え抜かれた右足で歓喜を呼んだ中村。この二人のスペシャリティーを確認できた一戦でもあった。(竹中 玲央奈)