Photo: Norio Rokukawa
それは前節の磐田戦(1○2)とは明らかに違うプレーだった。興梠自身、磐田戦終了直後に「もっと前でやらないといけない」と感じていたが、「(ペトロヴィッチ)監督からも『あんまり引くな』と言われて、ハリルさん(ヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表監督)にも『あれはダメだ』と言われた」ことでよりその意識が強くなった。もちろん、ポジションが変わったことはあったが、「シャドーに入ってもトップに入っても裏を狙っていこうと思っていた」。
興梠にとってこの試合は「危機感がある」試合だった。「1トップでやりたいという気持ちがあったから、どうにかしてここで監督にアピールしないといけないという気持ちがあった」。前節からの反省と自身の力を発揮しなければいけないという強い思い。それが表れた2ゴールだった。
興梠だけではない。武藤や李も興梠と同じように積極的に裏を狙った。さらにボランチの柏木と阿部が高い位置を取り、特に阿部は積極的に縦パスを前線に送った。磐田戦ではボールが出ないことによってシャドーが引き、そのシャドーにボールを入れても効果的な攻撃にはつながらなかった。一方で今回は高い位置をキープした前線に後方から積極的に縦パスを入れたことで攻撃が機能した。
磐田戦ではシャドーが引くことで前線の連動性を欠いてしまったが、1トップ、シャドーだけではなく、ボランチも含めて「やっぱりみんなの距離感が近いと、こんなにも良いサッカーができるんだとあらためて感じた」と興梠は言う。もちろん、反省を生かして好ゲームを見せたことは過去に何度もあった。それが浦和の特徴でもある。あとはそれをどれだけ継続できるか。それができて初めて、磐田戦の敗戦とこの試合の勝利に本当の価値が出てくるはずだ。(菊地 正典)