■アルビレックス新潟
静かな指揮官。オレンジの選手たちと戦いの舞台へ
前節のホーム開幕戦では、横浜FMを相手に主導権を握りながら惜敗(1●2)。とはいえ「やりたいサッカーができた中で、勝ち点3を落としてしまったのは悔しいが、手ごたえもある。自分たちでボールを支配し、運んでチャンスを作ることはできている」と田中が語るように、チームは日々連係を深め、成長している。
ここまで1勝2敗。すべての試合で得点が生まれているのが手ごたえの一つだ。これまで生まれた6ゴールは、新潟が得意とするカウンターだけでなく、パスやワンツーなどの崩し、ショートコーナーからなど、多彩な形から生まれている。前節、退場となったラファエル・シルバは欠場となるが、前線のコンビネーションに関しては、紅白戦からさまざまな形でゴールに迫る形が見られるなど、大きな問題はなさそうだ。
一方で、毎試合失点しているのも事実。1st第3節を終えて9失点はJ1ワーストだが、その多くが個人のミスやセットプレーからで、流れの中で大きく崩されてはいない。「ミスでの失点は一人ひとりの意識の問題。周りのカバーの意識も大事。いまできている部分を継続し、精度を高めれば十分やれると思う」という大野を中心に、修正をして臨む。
迎える第4節は、昨季まで吉田監督が率いていた柏との対戦。「ただの1試合。と言っても、誰も信じないでしょう。僕には新潟の選手がいて、ようやく彼らと信頼関係ができつつある。オレンジのユニフォームを着て戦う彼らとともに、正々堂々とぶつかりたい」と吉田監督は静かに意気込む。
前節、初めてホームとしてビッグスワンに立ち、360度から降り注ぐ大声援を受けたことでボルテージもアップ。「応援歌が頭から離れない。より勝ちたい、良いモノを見せたいとあらためて思った」と吉田監督。自らが率いるチームについて「新潟の人たちの思いを乗せて戦う感じがある」と実感を語った。温かくも力強いこのホームで、古巣を堂々と迎え撃つ。(野本 桂子)
■柏レイソル
「ほかを見ている余裕は自分たちにない」(大谷)
17位に沈む柏の再建を託された新監督は下平隆宏氏。所信表明は「これまでのアカデミーのやり方の良いところは継続していく。今年アグレッシブになった部分などは吸収していきたい」という内容だった。
練習ではステップで小さなズレを作り、半身でボールを動かす昨季の定番メニューが入った。前や外に張るのでなく、細かく動いてパスコースを作るという“アカデミーのやり方”をここから思い出していくということなのだろう。また紅白戦を見ればミルトン・メンデス前監督から人選面も大幅な変化が見て取れる。FW、中盤がしっかり帰陣してコンパクトな組織を作るという原則も強調されていた。
一方で守備組織の並びや距離感といった部分は“メンデス流”が残されそうだ。攻撃面でも「逆サイドのへの展開が速く、オーバーラップの勢いがあったところは個人的に継続したい」と田中が述べるように、吉田体制下の昨季とまったく同じということにはならない。
もちろん、ラクな道ではない。大谷は「簡単に融合できるモノではないので、みんなも覚悟している。やりながら合わせていかないといけない部分も多々ある」と現状を説明する。まだ31試合あるということはポジティブだが、足元を見れば明るい材料ばかりでない。監督がこのタイミングで交代し、陣容を見れば昨季の主力が半分以上抜けている。これから試合も詰まっていく中、建て直しの時間が潤沢にあるわけでもない。大谷は「危機感は去年から持っている。自分たちの下には勝ち点が同じ福岡しかいないという現実を、しっかり見ないといけない」と厳しく指摘する。
新潟のベンチを見れば柏と縁の深い人が座っているのかもしれない。しかし、主将はこう口にする。「ほかを見ている余裕は自分たちにない。自分たちがどうやるかだけ」(大谷)。(大島 和人)