2点目の捉え方は難しいかもしれないが、この試合で川崎Fが挙げた4得点のうち、3つがセットプレーから生まれたモノだ。
「CKになってもチャンスだと思えない」。昨季、記者席ではこんな言葉も飛び交っていたほど、川崎Fはセットプレーに強さがなかった。キッカーがいる一方で高さを武器とする選手が少なかったのがその理由でもある。それゆえ、ピンポイントで浮き球を供給する精度を徹底的に高めなければいけないという重労働を必要とされていた。「言ってしまえばクロスも“パス”だから」。中村はこう強調することが多いのだが、一般的に横から入れる浮き球のボールは、下を転がるそれよりも正確性に劣ると思われがち。ただし、このチームでは浮き球を使うのであれば足元のパスと同様の精度を求められる。「高さに逃げるな」とは風間監督がよく語る言葉の一つだ。
そんな状況下で、今季は奈良とエドゥアルドという空中戦に自信を持つ選手が加入し、キッカーとして“合わせやすさ”が生まれた。言うまでもなく、密集地帯に高さのあるターゲットがあれば、低い的よりは当てやすい。これがチームの攻撃オプションを増やした。
川崎Fは17日のセットプレー練習で、中村がファーサイドのエドゥアルドに合わせるという形から複数回のゴールを生んでいた。森谷の2点目を呼ぶCKの直前のFKでも、この練習の形で中村はエドゥアルドに合わせようとした。それを土屋がクリアして2点目につながるCKとなったのである。
1点目の直接FKと3点目のショートコーナーからの一閃に関しては背番号14の卓越した技術に尽きるが、彼の能力の高さも含め、”セットプレーに強い”川崎Fが出来上がろうとしている。(竹中 玲央奈)