結果と内容―。二兎を追うチームが必ず陥るジレンマに松本も直面している。開幕前から取り組んできたポゼッションスタイルは少しずつ形になりつつあり、別稿で触れたようにシュート数は千葉の倍以上を放った。先制した千葉がリトリートしたという事情もあったが、那須川を投入して安藤がボランチに移動した65分以降は中盤を制圧した。
それでも、本当の意味で千葉に冷や汗をかかせたのは最終盤のパワープレーではなかったか。ポゼッション率を高める目的は、得点へのバリエーションを増やすため。最後方からビルドアップしてハーフウェーラインを越えても、ゴール前での精度と迫力、アイディアに欠けてはゴールネットを揺らすことはできない。つまり相手にプレッシャーを与えることにはならない。チャンスを作り、シュートまで持ち込んでも決定力不足で勝利ならず―。まだ熟していない現在の松本が抱える明確な課題だ。
ホーム開幕戦ということもあり、この日は17,284人の観客が駆け付けたが、勝利の『アルプス一万尺』を歌えずため息を漏らすサポーターの姿もあった。内容と同時に結果も追い求めないといけない立場が話をややこしくする。
それでも反町監督は断言する。「目指しているモノを貫くには、ある程度の覚悟はしている。辛いけれど貫きとおしてやろうという気持ちになっている」と。いまのチームが進もうとしている道は、間違いなく茨の道。しばらくの間、サポーターにも我慢が必要となるかもしれない。 ( 多岐 太宿)