ハーフタイムの石井監督の言葉は珍しく怒気を含んだモノだった。「こんな緩いプレーでは絶対に勝つことができない」と選手に訴えかけ、後半頭から攻勢に出る。しかし、1点を返すのが精一杯。試合後、視線を落として悔しさをかみ殺す指揮官の声は少し震えていた。
小笠原不在時、いつになったら満足な試合ができるようになるのだろう。「最低限、戦う姿勢を見せよう」と選手に求めてきた指揮官を裏切るような低調な入り方であっさり失点を喫し、前半終了間際にもセットプレーから追加点を許す。粘り強く守る甲府のような相手に対して一番やってはいけない状況に、自ら進んでハマっていく姿は、およそ前回大会の王者とは思えない試合運びだった。
戦う姿勢だけでなく、攻撃についても小笠原不在は顕著。まるで制約でもあるかのように、ボールは選手間を各駅停車で進むばかり。狭い局面を崩すアイディアがなかったわけではないが、後半あれだけボールを握りながら放ったシュートが8本だったことは、攻撃が必ずしも効果的でなかったことを物語る。相手を左右に揺さぶるサイドチェンジはほとんど見られなかった。
移籍後初先発の選手も多く、まとまりを欠いた部分はあるだろう。しかし、このクラブでキャリアが十分にある選手たちは、もっと積極的にチームを引っ張ってもいいのではないか。組織で戦えることが鹿島の良さではあるが、それぞれが背負う責任には大小の差がある。背番号に相応しい活躍が望まれる。( 田中 滋)