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[日本代表]就任から約1年。厳しくも温かい指揮官の下で/W杯アジア2次予選シリア戦試合後コラム

2016/4/1 6:00


Photo: Atsushi Tokumaru

 国際Aマッチ100試合出場を達成した岡崎慎司。試合後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は息子を愛でるように肩を抱いた。また、試合途中にはベンチ前に飛んできたボールを指揮官が空振り。思わず、約6万人の観客が埋めたスタンドも笑いに包まれた。大勝に終わったシリア戦は、優しさとユーモアに満ちた空間だった。

 5点差とはいえ、決して手放しで喜べる勝利ではない。後半立て続けに迎えたピンチ。最終予選にも進出するシリアから突き付けられた守備のリスクマネジメントの課題は喫緊の修正事項である。一方で、全体としては好パフォーマンスだったことも事実だ。縦に速く、シンプルにボールを高い位置に運び、そこから各選手の技術と機動力を生かした連係からゴールに迫る。Jリーグのゆっくりとしたテンポではなく、そこには欧州トップリーグで繰り広げられるインテンシティーの高いプレーが存在していた。この1年間、指揮官が口酸っぱく連呼してきた意識。ザッケローニ体制、アギーレ体制よりもプレースピードは明らかに上昇した。

 チームに与える影響は、ピッチ外にもある。その好例が、冒頭の岡崎への対応だった。この日、キャプテンマークを岡崎に譲った長谷部誠がこう語る。「監督は試合前のミーティングで岡ちゃん(岡崎)に対するリスペクトの言葉を並べていた」

 さらに、最近はクラブ経営など起業家の顔を持つ本田圭佑も、独特の表現で監督について語った。「日本人は良くも悪くもベテランを大事にしないでしょ。新しいモノが好きで、飽きたらまた新しいモノという文化。でも外国人は少し違う。監督は『今日はキャプテンを任す』と、全員の前で褒め殺すぐらいにオカ(岡崎)の偉業を讃えていた。これはあまり日本人の管理職の人には見られない。それが僕はすごく好き。愛のある監督なんじゃないですかね。部下に尊敬される。負けたとしても最後に抱き合えて、お互い裏切り合うことなく、人のせいにすることなく最後まで戦える集団を作る上司なのではないかと思う」

 鬼軍曹のような厳格さと、人に寄り添う温かさ。選手たちは、厳しい練習や規制を強いられながらも、この指揮官の下でまとまり始めている。さらに強固な集団を目指すべく、ハリルジャパンはいざ、9月から始まるロシアへのラストロードへと突き進む。 (西川 結城)

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