焦れなかった浦和。過去の反省を生かす
主導権を握ったのは大方の予想どおり、浦和だった。[5-4-1]のブロックを作る甲府の守備に対して遠藤や阿部、柏木がボールを動かして揺さぶりながら空いているコースへ縦パスを入れ、武藤、李、興梠の前線3人が連動しながら攻撃をしかける。そしてボールを失った際には素早く切り替えて前線からボールホルダーに対してプレッシャーを掛け、甲府にカウンターの機会すら与えない。浦和にとってはトレーニングで意識してきたことをそのままピッチ上で表現しているような状況だった。前半のシュート数は浦和の10本に対して甲府は『ゼロ』。その数字はそのまま試合展開を反映していた。
31分には甲府の守備の要である山本が2回目の警告で退場。浦和にとっては数敵優位になったが、「退場したことによってまったく相手が出てこない状況になってしまった」(ペトロヴィッチ監督)ことで数字上の優位さを出せない。さらに攻め続けながら得点できなければ焦りが生じてきてもおかしくないが、過去の反省から「我慢するしかないと思っていた」(柏木)選手たちは、焦れずに戦い続ける。
その中で先に動いたのは甲府。65分、佐久間監督は1トップのクリスティアーノに代えてCBの畑尾を投入。[5-3-1]から[6-3-0]へと割り切って変更し、守りを固める。しかしそのわずか3分後だった。遠藤が縦パスを入れると興梠がスルーしてゴール前へ走り込む。李のパスを受けた興梠はフリーランニングとトラップで相手DF二人を置き去りにし、冷静にゴールを決めた。1点を追う必要が出てきた甲府は津田に代えて吉野を投入。再び[5-3-1]に戻すが、81分には森脇がミドルシュートを決めて浦和が突き放す。
終盤、甲府は攻勢を強め、サイド攻撃から稲垣が1点を返すが、反撃もそこまで。浦和がミハイロ・ペトロヴィッチ体制4試合目で初めてホームで甲府に勝利。勝ち点を『12』に伸ばし、首位に浮上した。(菊地 正典)