行けてしまうがゆえに歯止めがかからなかった。鳥栖が前半に先制に成功したことで、同点に追い付きたい柏は当然、前がかりになった。マッシモ・フィッカデンティ監督が「向こうが追い付くためにスペースを空けてきたところもしっかり突いた戦いができた」と評価したように、鳥栖は再三カウンターに持ち込んだ。実際に柏のゴール前まで迫っていた。しかし、追加点だけが生まれなかった。1-0のまま時間が進んでいく中で、試合をどう終わらせるのか。鳥栖はそこがぼやけてしまっていた。
「ちょっと縦に急ぎ過ぎていた」と藤田が言うように、カウンターに行けるからこそ、落ち着かせる意識が希薄になった。リードしているのに打ち合いのようなオープンな展開を続けてしまった。奪ってもファーストパスですぐに奪われる。カウンターに行けていたからこそ、前に性急になり過ぎて試合をコントロールすることができなかった。鳥栖にとっては2点目を奪えていれば何の問題もなかった展開だったが、実際はそうはいかず。勝ち点3を確保するために1-0で勝ち切るシフトチェンジが必要だった。本当は踏み切らなければいけなかったその決断を欠いた鳥栖は、81分に痛いしっぺ返しを浴びてしまった。(杉山 文宣)