対応力・修正力に差。チームの完成度がそのまま結果に反映される
試合状況に対応していく力があるからこそ“試合巧者”と呼ばれるのだろう。ナビスコカップ2連敗中の両者の一戦は、連覇に向けて窮地に立たされていた鹿島が、見事に試合をひっくり返した。
先手を取ったのは名古屋。高さや速さだけに頼ることなく、野田にボールを収めたところから敵陣で攻撃を展開していく。38分には敵陣でのボール回しからFKを獲得。主将・田口のパーフェクトキックに野田が左足で合わせてリードを奪った。野田の言葉どおり「前半は決して悪くはなかった」。
しかし、前からのプレス強度を高めた鹿島がその後は主導権を握った。ロングボールに対しても昌子と植田が抜群の強さを発揮し、名古屋の組み立てを自陣に追い込んでいく。攻撃面では慌ててボールを失う場面の目立った鹿島だったが後半、柴崎と鈴木を同時投入し、縦の推進力を発揮していたカイオをFWに上げることで修正。「前線でボールを保持できれば、攻めの形は作れると思っていた」(石井監督)。52分、植田の目の覚めるような高速フィードを受けた遠藤が同点弾を決めると、ここから畳みかける。一つの失点でナイーブになり後手に回ってしまった名古屋に対し、66分には鹿島らしいスピーディーな攻撃からカイオが、71分にはCKからのこぼれ球を昌子が決めて3-0。ようやく同大会の初白星を挙げ、前年王者としての意地を示した。
相手の選手交代に対応し切れず、運動量の低下も重なって全体が間延びしてしまった名古屋。前半にリードを許しながら「落ち着いて自分たちのボールをつなぐ形をしっかりできた」(石井監督)鹿島。“対応力・修正力”の部分で、チームの完成度が勝敗を分けた一戦だった。(村本 裕太)