進化した守備、執念でもぎ取ったPKが決勝点に
今季の柏はカップ戦も含めた全8試合ですべて相手に先制点を許していた。このFC東京戦も14分にFW前田の際どいボレーシュートを許している。しかし「(中村)航輔が試合の勝敗を決めるようなビッグセーブをした」(大谷)ことで柏は“違う展開”に持ち込むことに成功した。大谷が「シモさん(下平監督)が監督になってから攻めと守りのオーガナイズ(組織)が違う」と説明するように、柏は攻守それぞれに違う布陣を採っている。相手ボールなら[4-4-2]の形で均等に散らばるブロックを作ることが原則。この試合は右ボランチの茨田が外に一列、左ウイングの武富は後ろに一列ズレることで形を整えていた。
攻撃では「[4-4-2]で来る相手に対してズレを作ろう」(武富)という狙いから、[3-4-3]の形を使った。大谷が最終ラインに下がって最後尾が相手の2トップに対し数的優位を作り、両SBも高い位置を取ることができる。しかし、可変システムは攻撃から守備に移った直後にミスマッチや混乱が起こりやすい。大谷は「(自分が)ボランチに戻るタイミングだけには気をつかいながら、戻れなければ3バックのままリスク管理をしながら対応することもやった。(小林)祐介にせよバラ(茨田)にせよ、その辺は頑張ってくれた」とチーム全体の賢くタフな動きを説明する。
80分のPK奪取は組織にプラスして、球際の執念から生まれた。中谷、武富が体を激しく寄せて相手のボールを下げさせると、小林、田中、中山と3人が相次いでルーズボールにスライディング。そこからディエゴ・オリヴェイラがドリブルをしかけて橋本のファウルを誘った。「ここまでは人数がいるのにボールにプレッシャーが掛からないことが多かった。(FC東京戦は)守備でもチャレンジしていく、前の意識を持ってというのを続けられた」(大谷)という進化を見せた柏が、下平体制3戦目のリーグ戦で、ようやく今季の初勝利を得た。(大島 和人)