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「エキスパートの必要性」手倉森 誠監督(U-23日本代表)インタビュー②

2016/4/15 15:41


Photo: Norio Rokukawa

――いま育成年代にフィードバックしたいことは?
「下の年代ではさまざまなポジションを覚えさせようと指導者養成で教えているわけですが、これも捉え方ややり方次第でマイナスに作用してしまう可能性があります。身体的特徴を見極めながら、センターFWならセンターFWとしてといった、エキスパートを育てる意識も必要ではないでしょうか。『そこそこ何でもうまい選手になって、プロに引っかかるレベルになれればいい』となってはいないかという危惧があります。いまは昔の選手よりも全体的にスキルがあるのは間違いない。ただ、戦術理解力やゲームを読んでコントロールする力や、危機察知能力はどうなのか。そして何より満遍なくスキルがある一方で、『エキスパート的スキル』はどうでしょう」

――手倉森監督は五輪代表でポジション別トレーニングをかなりやられていましたよね。あれは育成年代にこそもっと必要なのでは?
「やったほうがいいと思います。本来、選手は自分で個別の練習をするものですよね。たとえば秋田豊なら、毎日ヘディング練習をやり込んでいたと思います。いまのU-23年代の選手たちは、それを制限されてきた年代でもあると思います」

――週末に必ず試合があるから、そこで勝つためのコンディショニングが優先されるということですね。
「そういうことです。さらに“机の上の理論”を指導者が優先してやるようになった結果、選手個々が考える必要を感じなくなってしまった一面もあるかもしれません」

――逆に言うと、昔は指導者に机の上の理論を持っていない人が多くて、選手が考えざるを得なかったというのはありますよね。
「僕自身の経験で言えば、ユース代表になって松本育夫監督(当時)から『戦術ミーティングをやるぞ』と言われたときに、『ん? 戦術ミーティングって何だ?』と(笑)。そういう時代でしたからね」

――それを昔は「できる選手」だけができていたわけですよね。
「逆にちゃんと教わっておけば、僕たちの世代はもっと強くなっていたかもしれません」

――そこはバランスですよね。
「それも含めて全部が日本サッカー界の経験だと思います。過去からの積み上げがあって、現在がある。いまは世界中から情報がどんどん入ってきます。このプレミアリーグにしても、『世界では育成年代のリーグ戦が当たり前』という一つの情報が出発点ですから。それを採り入れないといけないと思えたこと自体、『世界からの情報』があったゆえですよね。僕が高校生の時代なんて、それこそ『ダイヤモンドサッカー』(テレビ東京系列で放映されていたサッカー番組)くらいですよね」

――青森では放送されていたのですか?
「ないですよ(笑)。関東の友達から(ビデオが)送られてきて、その到着を待って見るような状況でした」

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