倍以上のシュートで押し込まれた横浜FM。それでも勝利は離さず
横浜FMの“控え組”が意地を見せた。ナビスコカップでは過去2戦ともリーグ戦から総入れ替えで臨んでいるが、普段の彼らは練習で対戦相手の役割を黙々とこなさなければならない。システムや戦術は週によって異なり「試合に向けた練習はなかなかできない」(栗原)。この鳥栖戦に向けたトレーニング時間も試合前々日と前日のわずか2日間のみで、先発した11人がこの配置で並んだゲームはこの試合が初めてだ。
したがってチームとしての機能性が乏しいのは致し方ない面もある。実際にゲームでは鳥栖に17本のシュートを許し、それは横浜FMが記録した8本の2倍以上の数字だった。押し込まれる展開でセットプレーを与える回数も多く、ゴール前ではね返すのが精一杯。77分にはクロスから豊田にヘディングシュートを許したがポスト。80分にはパク・ジョンスが戻りながらのディフェンスを強いられ、クリアボールが左ポストにはじかれた。いずれの場面も決定的なピンチで、いつ同点に追い付かれても不思議ではなかった。試合後、豊田が「そんなに悪いプレーをしたわけではないと思う」と首を傾げるのも無理はない。
戦術的には内容の乏しいゲームだったと言わざるを得ない。鳥栖は昨季までのようにロングボールを多用し、横浜FMはゴール前で懸命にはね返す。それでも栗原や榎本がベテランらしく周囲を鼓舞し、新井やパク・ジョンスは終盤に足をつったが最後までピッチに立ち続けた。チームの伝統である堅守は、リーグ戦になかなか出場できない面々にもしっかりと息づいている。
PKとはいえ23分に決勝ゴールを挙げた伊藤は「このメンバーで勝ったことに価値がある」と収穫を口にした。内容よりも結果を求められるのがプロの世界なのだから、この日戦った選手たちは称賛されるべきだろう。(藤井 雅彦)