山口が試合をとおして見せつけたのは堂々たるパスサッカーだった。同サイドの狭いエリアで小刻みにボールをつなぐと、水たまりの波紋が広がるように次第にパスエリアを拡大。敵陣に深く入るときには縦の長いボールやクロスも使ってゴールに迫った。
パス交換のクオリティーの高さは練習の成果だ。山口は固定した練習場がまだなく、主に3カ所を転々としている。このうち一つは芝生面積が狭く、フルコートを取ることができない。だが上野監督は厳しい環境に屈せず、パスサッカーを熟成させてきた。今節に向けてもフットサルコートほどのサイズでミニゲームを実施。タッチ数にも制限を設け、個人技ではなくコンビネーションを使わせた。こうした練習が発揮され、千葉戦ではダイレクトプレーを含む精度の高いボール回しが相手のリズムを乱した。
フィニッシュへのこだわりも強くなってきている。J2はほとんどのチームが引き込んで守備を固めるが、崩しにくい相手からゴールを奪うにはどん欲にシュートを打つことも一つの手だ。その意気を前からプレスに来る千葉戦にも持ち込み、福満がMFながら7本のシュートを放てば、島屋はFW顔負けのテクニックで2度もゴールを射貫いた。
島屋は「3、4人が複数得点して、相手が抑えづらいような状況にしていければいい。新参者なのでチャレンジする意識が大事」と話す。練習を結果につなげること。チャレンジャーであり続けること。山口の快進撃を支えるのは実直にサッカーを追い続ける姿勢だった。 ( 上田 真之介)