下平監督は6年間に渡って柏U-18の監督を務め、そのノウハウを熟知していることもあって、就任以降は柏がアカデミーから一貫する“ポゼッションスタイル”への回帰を選択した。
昨季と大きく異なる部分は“ポゼッションのためのポゼッション”ではなく、“ゴールを奪うこと”を念頭に置いた点にある。基本的には後方からビルドアップして攻撃を組み立てていくスタイルは変わらない。だが、パスをつなぐばかりでなく、相手の背後を狙った攻撃が効果的ならシンプルに裏を突いていく。ゴール前に人数がそろっているならクロスを入れていく。相手のラインを下げるために多少アバウトでも前線にロングボールを送る。それらは同時にボールを失うリスクを背負うことになるが、下平監督は「しかけなければゴールは生まれない。ボールを失ったらすぐに奪い返せばいい」と説き、アグレッシブな攻撃意識と並行してボールを失った瞬間の切り替えとハイプレスを徹底させていった。さらに高い位置で奪えなかった場合の手段として、[4-4-2]のコンパクトな守備組織の整理も進めた。
結果的に相手の背後を狙う意識が出たからこそ、前節・鹿島戦(2◯0)のパスによる鮮やかな崩しが生まれた。攻撃面では裏へ抜け出すアクション、守備面では前線からのプレスなど運動量が増え、走行距離・スプリント回数とも昨季を上回る数字を残している。同時に素早い切り替えによってボールを奪い返す意識や回数も向上した。こうしたデータが下平体制での変化を如実に物語っている。(鈴木 潤)