Feature 特集

[C大阪]大熊セレッソの現在地/セレッソ大阪特集

2016/4/29 11:35


Photo: Atsushi Tokumaru

攻守分断から全員守備・全員攻撃のチームに

 J1昇格が至上命令の今季。C大阪はJ2第9節の札幌戦(0●1)で今季初の敗戦を喫したとはいえ、開幕から8戦負けなしとスタートダッシュに成功した。内容を振り返れば、辛勝続きで派手さこそないが、「“うまい”チームから“強い”チームへ変わりつつある」という茂庭の言葉にもあるように、勝負強さが光った。

 具体的に変化が表れているのは守備。相手に“攻守分断”と分析され、前線と中盤の間に生まれるスキを突かれていた昨季と異なり、今季は大熊監督が掲げる“全員守備・全員攻撃”の下、ボールを失ったときの切り替えが速い。今季の“ボール奪取のうち5秒未満で取り返した回数”は1試合平均で12.78回。昨季の9.6回から大幅に増えている。タックル数も、1試合平均20.0回(15シーズン)から21.1回(16シーズン)へ増加。守備を免除されている選手はおらず、前線も含めて「やるべきことをやらない選手は試合に出られない」(大熊監督)チームになっている。その上で、セーブ率リーグ1位の韓国代表GKキム・ジンヒョンが最後の砦として構える。その結果、開幕から4試合連続無失点(すべて1-0で勝利)というJ2新記録を樹立し、9試合で喫した失点は5。今季、スタートダッシュに成功した要因は守備の力が大きい。

 攻撃では、今季は試合ごとにヒーローが誕生しているのが特徴的。町田との開幕戦(1〇0)はCKから山村の規格外の高さによるヘディングが決まり、第2節・水戸戦(1〇0)、第3節・群馬戦(1〇0)では柿谷のインパクトあるゴールが飛び出した。第5節・金沢戦(2△2)ではブルーノ・メネゲウの裏抜けと杉本のミドルシュートがさく裂し、第7節・清水戦(2〇0)ではリカルド・サントスにもゴールが生まれた。ソウザが3得点、山村が2得点するなど、ボランチの得点力も目立つ。「どこからでも点が取れる」(大熊監督)チーム作りが結果となって表れた。

 順調に歩み始めた今季のC大阪だが、百戦錬磨の指揮官が集うJ2リーグ。相手を研究して長所をつぶしてくることはお手の物。堅守速攻を徹底してきた第8節・北九州戦(1△1)のような相手は今後も増えるだろう。「試合ごとに相手に研究されてきた中でも、(攻撃で)やることは多彩にはなってきた」と大熊監督は評価する一方、「まだやり切れていない」ことも事実。キャンプから開幕2カ月を経て、守備や全員で戦うことはチームに浸透してきた“大熊セレッソ”だが、攻撃の最大値を求める作業やオプション作りは改善の余地が残されている。

 また、開幕からここまで、メンバーを固定し、新戦力の成熟に重きを置いてきたが、練習における紅白戦ではBチームのほうが優位に立つことも多く、準備万端な選手は多い。今後の課題は、攻撃力を高め、持てる戦力をフルに生かしていくこと。それはすなわち、相手に研究され、警戒される中でも凌駕していく力につながる。混戦J2を抜け出す“桜の本領”が、いまこそ試される。(小田 尚

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