試合後、金沢の選手たちが頭を抱えたのは、クロスからの失点を繰り返していることに限らず、「失点シーン以外はそんなに決定機は作られなかった」(辻尾)からだろう。選手たちの言葉を借りれば、「やられた感」のない敗戦となった。つまり札幌は、圧倒せずとも試合をものにした。
5バックで守りを固め、前線で都倉のパワー、内村のスピードをシンプルに生かしつつ、攻撃が単調にならぬようジュリーニョが変化を付ける札幌。しかし、今節はターゲットマンの都倉が金沢DFのハードな寄せに苦しみ、いつものような迫力はなく、内村も動き出してはいたものの、ビッグチャンスは作り出せなかった。
「相手がもっと前がかりになって出てくることは予想して入った」(四方田監督)後半は、押し込まれる時間も続いた。だが、そこでバタつく様子はなく、守護神ク・ソンユン、ベテランの河合を中心に守り切った。良くない時間帯は、カウンターのチャンスを窺いながらも無理せずやり過ごす。66分から途中出場し、前に重心をかける金沢の背後へシンプルに配球した小野は、「昨季だったらこういう試合も引き分けに終わったり、逆転されることもあった。(金沢のシュートが)ポストに当たったり、運もあったが、みんなで最後まで走り抜いて勝ち点3を取れている」と昨季との違いを語った。国内外で豊富な経験を持つ小野、稲本の存在も大きいはずだ。
“1-0”での3連勝。11試合を終えて、わずか6失点。J2仕様の手堅いサッカーで積み上げた成功体験が、心に自信と余裕を生み、ピッチ上で1点を守り切る落ち着きにつながっている。それがいまの札幌の強さだろう。ただここからは、首位として追われる立場での戦いが札幌を待ち受けている。( 野中 拓也)