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公式戦5試合勝利なしの状況から意地を見せる
あと1点取られていれば、FC東京はグループステージ敗退となってしまっていた。2-1で向かえた試合終盤。35℃近い暑さでもうろうとなる青赤の選手たちに、ビン・ズオンの攻撃が容赦なく襲いかかってきた。
やられたら終わり。彼らは耐えることに必死だった。水沼がこう語る。「味方の足がつろうが、誰かがミスしようが、『大丈夫だ! やってやろうぜ!!』と全員で声を掛け合っていた。さらにベンチからの声も聞こえた。もちろん、こんなに暑くて遠いのにたくさん日本から来てくれたサポーター(約500人)の後押しも届いていた」。連結の力。この日のFC東京は、最後の最後までその連なりが解けることなく、危機感、勝利への渇望を支えに勝利を手にした。
公式戦5試合勝利なし(1分4敗)。最後に勝ったのは、約1カ月前のACL第4節・江蘇蘇寧戦(2○1)まで遡らなければならない。ここ最近は毎試合、不甲斐ない戦いぶりと低調なプレーの連続。だからこそ、今大会の大一番で骨のある姿を見せなければ、周囲からの視線はさらに棘を増し、チームは瓦解の道を転がっていっただろう。
ベトナム入りする直前に行った選手ミーティング。さらには現地では城福監督が主要選手数人と個人的に直接話す機会も持たれた。攻守ともに迫力と鋭さを欠いた現状を、まずはこの試合で必ず打破しなければならない。そんなチームの覚悟が一つの熱い塊になり、敵地での劇的な勝利に直結していった。
「これは全員の力」。森重はそう言い残して、灼熱のスタジアムを後にした。彼らは目一杯の意地と自尊心を前面に出して戦い、アジアでの挑戦の道を伸ばしてみせた。(西川 結城)