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[清水]「苦しんでいるエスパルスに自分の経験を生かしたい」小林 伸二監督(清水エスパルス)/インタビュー①

2016/5/11 11:30



こまでは悪いスタートではない。いろいろな選手を大事にしたい

―小林監督はこれまで3つのクラブをJ1昇格に導いていますが、J2というリーグの性質をどう感じていますか?
「J2はJ1に上がるための準備をするリーグだと言えます。それは個人だけでなく、チームやクラブなど、すべてに当てはまります。いまは昔と違って3チームがJ1に上がれますし、昇格できなかったチームからも良い選手であればJ1に移籍していきます。逆にJ1の中で試合経験が少ない選手などは、J2で試合経験を積んで質を上げることができる。そういう意味で、Jリーグ全体の質を上げる役割を担っていると思います。日本サッカー全体を考えても大切な役割を持っているのではないでしょうか。J1だけしかなければ、所属できる選手の人数も限られるし、試合に出られる選手となればもっと少なくなる。今季からサテライトリーグも復活しましたけど、J2というリーグも、チームや個人のレベルを高めるには良い舞台だと思います。
 それにJ2は地方のチームが多いですよね。そういう地域でサッカーを生で観てもらえる。それで感動や勇気を与えられると思うんです。地方のチームは予算規模は小さいかもしれませんが、“おらがチーム”として応援できる。そうすれば“将来あそこでサッカーがやりたい”という夢を子供たちが描くことができます。遠いところにある夢よりも、近いところにある夢のほうが現実的ですよね。そういった意味でもJ2は大事なリーグだと思います」

―J2で指揮を執るのは今季で7シーズン目ですが、これまでのJ2と今季のJ2に違いはありますか?
「毎年レベルが上がっているという印象を持っています。だから、混戦が続く傾向にありますよね。今季もスタートからそのようになっているので、シーズンを折り返すくらいまでは団子状態で、2回目の対戦からどうなっていくかというところだと思います。
 あとは、清水に限った話でもないと思うのですが、序盤戦は同じようなレベルのチームと対戦しているように感じます。上位が予想されるチーム同士、下位が予想されるチーム同士の対戦が続いているので、全体的に勝ち点が伸び悩んでいるのかなと思います。(実績はあるのに)苦しんでいるチームが多いのは、そういう背景もあるのではないでしょうか」

―清水もその苦しんでいるチームの一つに入っていますか?
「私としては、それほど悪くなかったと思います。特に(第7節で)C大阪に勝てば、勝ち点が『14』になっていたのですが、そこを落とした(0●2)のがもったいなかった。でも、清水にとっては初めてのステージでの戦い、そして昨季自信を失っているチームのチャレンジだと考えると、悪いスタートではないと思います」

―これまで監督が率いてきたチームと、今季の清水を比べると、少し事情が違うと思いますが?
「(清水は)うまい選手は確かに多いけど、それが“組織のためにうまい”かどうかというのは別ですよね。個人の主張が強くなると、組織のためにならないこともありますから。しかも、うまいからといって結果が出るわけではない。サッカーはうまいけど、勝負は別のところにあるかもしれませんから。目的はJ1に昇格すること。うまいサッカーを見せるというのとは少し違ってきます。それはJ1を見ても同じで、攻守が整っているチームが勝っていると思います」

―となれば、小林監督がいまやっている作業というのは、組織的に戦える選手を育てるということになりますか?
「そうですね。昨季も守備が崩壊していましたし、組織を高めるしかないんですよね。ただ、そうなれば点を取れないイメージもありますので、そのバランスが難しい。一度に何でもかんでもはできませんよ。
 それに、個のレベルもまだまだ上げなければいけません。チームには若くて良い選手もいますが、そこそこやれるだけという印象です。1シーズンをとおして高いパフォーマンスを出し続けている選手がいない。1回、2回活躍しても、そこから先も活躍し続けることは難しいんです。(ここまで開幕から)2カ月で約10ゲームをこなしましたけど、高い状態をキープしている選手が少ない。チームとしても、『この選手が1番手』という飛び抜けた選手がいるのではなく、1.5番手くらいの選手が並んでいる感じです。どの選手も良さそうなんだけど、メンバーを代えたとき、うまくいく選手がどれだけいるのか。うまくいったとして、次のゲームもうまくいくのかということです。誰が出ても同じくらいというのは、競争が生まれるから選手が伸びる環境ではあるのですが、いまは選手層が厚いというより、同じポジション、タイプの選手が多いかなと思います。長所が似ているのは悪くないけれど、短所も同じタイプが多い。コンビネーションが不足している選手や、状況を見てサッカーをする選手が少ないのかなと思います。それを変えていくのは時間がかかりますよね。
 そうであれば、『スーパーな選手を入れればいい』ということになるかもしれませんが、そうしてもなかなかうまくはいかないはずです。何試合かは活躍するかもしれないけど、自分中心のサッカーをやり出し、チームのことを考えてプレーするという部分が不足しがちになります。時間をかけなければいけないんですよ。いろいろな選手を大事にしておけば、必ずどこかのタイミングで活躍します。そのためには、日々の練習が大切。『あなたが大事だ』ということを、練習を通じて選手に伝えていかなければいけない。まずは現場でしっかり見て、いまいる選手を伸ばすことが大事だと思います」

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