Photo: FC町田ゼルビア/春木睦子
町田は4月を3勝2分で乗り切り暫定首位で終えたが、結果が出ればメンバーも自然と固定される。先発は5試合をとおして不変だった。チームが勝つほど出番が減るというのは、団体スポーツなら必ず起こる控えのジレンマ。勝利が生み出す皮肉な試練だ。
重松は今季、谷澤が加入したことで居場所がベンチに移った。途中出場で悪くないプレーは見せていたが、ここまでの出番はすべて後半から。連戦の中でMF鈴木崇が先発を外れ、ようやく先発復帰を果たしたのがこの讃岐戦だった。彼は「いきなり先発で出たときに結果を出せるか」という自らに課したミッションを、ゴールという最高の形で達成した。
キム・ソンギも完封勝利に貢献しつつ、重松のゴールもアシストする大活躍。深津、ヨン・ア・ピンの負傷によって得た出番を生かした。出番に恵まれなかった選手たちの重ねた準備が証明され、報われたことは、町田が勝ち点3とともに得た収穫だ。
町田ほど“横綱相撲”という言葉が似合わないチームはない。22番目からスタートしたチャレンジャーに首位を維持する、守るという感覚は馴染まない。1試合1試合ですべてを出し切り、現状維持でなく成長を積み上げ続ける―。それがチャレンジャーとチャンピオンを両方やり切る唯一の方法だ。
ただ一時的ではあっても、暫定であっても、首位という結果は選手を受け身にする。それが第10節・岡山戦(2△2)と第11節・岐阜戦(1△1)で勝ち点3を取り切れなかった要因かもしれない。言わば勝利が生み出す試練であり、首位の罠だった。
とはいえ、それは喜ばしい試練。12年のJ2を振り返れば、町田は5月から7月の計15試合で勝ち点を『4』しか得られなかった。しかし、今季は5月の2試合ですでに同じ勝ち点を得ている。試練はどんどん大きくなっていくのだろうが、それは目覚ましい成長の証明だ。 ( 大島 和人)