勝てなかった鹿島。磐田にとっては充実感のある『1』
最初にゴールへ迫ったのは鹿島。2分、カイオのパスを受けた金崎がペナルティーエリア手前からシュートを放つ。3分にも金崎が磐田最終ラインの裏へ抜けるも、これは森下にブロックされた。
一方の磐田は9分、アダイウトンのパスから太田が右サイドを抜け出し、フィニッシュに持ち込んだ。この日も1トップの位置に入ったアダイウトンは、昌子、植田というリーグ屈指のCBに一歩も引くことなく競り合い、体を張ってボールを収めた。ブラジル人アタッカーは39分、太田のクロスをドンピシャのヘディングで合わせるも、惜しくもクロスバーに阻まれた。
「先制されると難しくなる」と磐田の選手が口々に話していた中で、先手を取ったのは鹿島だった。55分、カイオが巧みなステップとボールタッチからラストパスを送ると、金崎が冷静にゴールを陥れた。
しかし、ここで磐田が踏みとどまる。失点からわずか1分後、右からのクロスのこぼれを小林が左足で鮮やかに決め、試合を振り出しに戻した。
その後は互いに好機は作ったが両者得点を奪えず、引き分けで試合終了。昌子は「勝てないチームの象徴的な試合。勝負強さがないいまの鹿島(を表している)かなと。ウチらしくない」と振り返った。
また、激闘の末に勝ち点1を分け合う形となった一戦では、スタジアムの雰囲気も素晴らしい舞台装置となった。14,155人が駆けつけ、“ナショナルダービー”と称されたかつての香りを醸し出す。選手たちはこの環境を楽しみ、力に変えていた。
「ジュビロの応援ももちろんすごかったし、鹿島のサポーターの声の大きさや一体感もさすがだなと思った。『やっぱりJ1って楽しいな』とピッチに入場するときに感じた。こういうシビれる試合を毎試合できれば、自分ももっと成長できると思う」
殊勲の小林は、そう言って表情を緩ませた。(青木 務)