狙いすましたキックに合わせてゴール前に選手がなだれ込む。伸ばした足がボールを捉え、ネットを揺らすと、選手たちは抱き合って喜んでいた。
試合3日前の11日、練習ではセットプレーに多くの時間が割かれていた。しかし、その雰囲気は少し異質。単調になってしまいがちなセットプレーの練習が、ゲーム形式になったことでピリッとした空気に。あらかじめチーム分けされた選手たちは、自分たちで決めたトリックプレーに挑んでいた。
伝統的にセットプレーの強さを武器にしてきた鹿島だが、今季ここまでセットプレーでの得点数は2点のみ。総得点のわずか13.3%にとどまっている。キッカーの質が低いことが一番の原因とはいえ、ショートコーナーなど、さまざまなトリックプレーを指示してきたトニーニョ・セレーゾ前監督に比べると、石井監督は選手の判断に任せてきた。少し頭を柔らかくする狙いもあったのだろう。
セットプレーのターゲットになるCBの選手たちも、得点数の低さには忸怩たる思いを抱える。昌子は、先輩CBである岩政(岡山)の映像を入念にチェック。まだいくつかの型を試している段階だが、「絶対に(手ごたえを)つかむ」と意欲を燃やす。出場の可能性を残すブエノも高さは武器。ニューイヤーカップでは打点の高いヘディングでゴールを決め、「もっと取りたい」と虎視眈々だ。チームに漂うイヤな流れを変える意味でも、セットプレーからの得点が欲しい。 ( 田中 滋)