つなげなかった前半を耐え抜いたことが、メンタルの安定につながる
想定した形とは異なるプレーに偏ってしまったが、“結果的に”はそれが奏功した。想定した形というのは湘南のハイプレスに対しての福岡のプレーについてだ。もともと、シンプルに前線にロングボールを入れるのが福岡の特徴。しかし、「プレッシャーに来るからと、全部蹴ると湘南の思うツボになる。自信をもってつなぐところはつなぎたい」(亀川)とポゼッションにもトライする狙いを今節は持っていた。ただ実際は、「湘南のプレッシャーが速いので後ろからつなぐことはなかなかできなかった」(堤)。湘南に押し込まれる形が続き、セットプレーも多く与えてしまう。「先に触られるシーンもあった」(田村)が最後の寄せでの頑張りと湘南の決定力不足のおかげで、何とか無失点で前半をしのいだ。
“結果的に”の色合いは濃くとも「(ハイプレスの湘南の体力が)90分もつことはない」(亀川)と後半勝負のイメージを持っていた福岡にとっては、前半無失点という事実はメンタル面で大きかった。湘南のスタイルは後半も変わらなかったが、福岡が最終ライン裏のスペースを突くシーンが前半よりも明らかに増加した。これは湘南の疲労も無関係ではないだろう。そして、81分、湘南のプレッシャーの出足が鈍ると、中盤で入れ替わった福岡がカウンターを発動する。城後のパスを受けた平井が右サイドから放ったクロスが金森を経由して再度城後の足元に。これを振り向きざまに城後が蹴り込み、福岡が後半勝負のプランを結実させた。
前半無失点という結果がメンタルを維持させ、前からくる湘南の後ろのスペースを突くプランを実行し続ける原動力になった。きれいな試合ではなかったが、福岡が泥臭くも今季ホーム初勝利を手にした。(杉山 文宣)