―練習を見ていると、短い時間でさまざまなメニューをこなしているように見えましたが?
「練習に関しては、スタッフのみんなで役割を分担してやっています。ウォーミングアップのところは松原直哉フィジカルコーチにやってもらって、ポゼッションのところは布部陽功ヘッドコーチにやってもらい、ゲーム形式や戦術の落とし込みのところは自分がやっています。あと、今年からレイソルはカタパルトとファーストビットという二つの機器を取り入れてやっているんですけど、ベルマールさん(フィジカルコーディネーター)がモニターを見ながら、いまの状況をリアルタイムで教えてくれるんです。その日ごとに狙った数値があるんですが、その数値にピタッと合わせる形で、そこを満たせば練習は終わるし、それを超えたり、超えそうだったら言ってもらうようにしています」
―GK陣がポゼッションの練習をしているのも印象的でした。
「もちろん松本拓也GKコーチが練習メニューを考えていますけど、理想としてはGKもフィールドプレーヤー並みの足元の技術を身に付けてほしいと思っています。あとは戦術理解ですね。ビルドアップだったら一緒にビルドアップに加わるような、リベロのような役割をしてほしいなと思います。現代のGKはシュートストップだけではなくて、フィールドプレーヤーのようにプレーに加わってほしいという理想があるので、そこはリクエストしてやってもらっています」
―下平監督が目指す理想のサッカーというのはどんなサッカーなのでしょうか?
「基本的には、ACLに出て勝つためには何が必要なのかということをいつも考えています。僕は幸いなことに柏U-18の監督をやっていたときに、海外遠征に行って世界の強豪クラブと対戦する機会をたくさん与えてもらいました。そこで、U-18のカテゴリーですが、どんなサッカーだったら世界のビッグクラブに通用するのか、互角にやれるのか、そこに勝っていけるのかと自分なりに考え、挑戦して手ごたえがあったんです。それは、例えばマンチェスターUのU-18と対戦して、フィジカル勝負とか、スピード勝負だとかなわないんです。ただ、組織的に戦うことだったり、ボールをしっかり保持しながら前進していく部分に関しては十分通用するという感触が得られました。世界に勝っていくためには、とにかく組織的に、オーガナイズされたサッカーというのをしないと勝てないんだろうなと。国内でフィジカルだけで勝負して勝った負けたではいけない。それで当然勝負はつくし、勝つかもしれないけど、それだけでは世界に出て行ったときにかなわないと感じました。世界で勝つためには組織的なサッカーをしなければいけないというのがベースです」
―フィニッシュの部分や最後の崩しの部分で課題を抱えるチームは多いです。そこに対しての考え方はありますか?
「組織的にプレーを進めていって、相手の深い位置まで入って行って、最終的にきれいに崩して得点を取れれば理想ですけど、そうは思わないというか、レベルが上がれば上がるほど、そういうレベルで崩せなくなってくると思うんです。そこで必要になってくるのがやっぱり守備なんですよ。相手陣内まで入って行って、(ゴールに)近いところまで行って、そこでボールを失ったり、攻撃が途中で終わってしまうことをきちんと想定して、そのあとのリアクションができるように準備をしておくことが大事だと思います。例えば、良い形で攻めてクロスを上げたとします。攻撃側が予定していたとおり、(クロスに合わせて)人が入って行ったとします。でも、相手のほうが一枚上手ではね返されたということまで予測して、どこに人を配置をしていたらボールを拾えるのか、そのボールを拾ったあとはどこに持っていくのか。そこですぐにまたゴールに直結させるような形になれば、相手もクリアしたあとはホッとした気持ちになって、緩んだりするので、そこにゴールへのヒントがあったりします。そういうところは狙ったり、考えたりして、選手にもよく話をしていますね。(相手が)困ることをしておいて、そのあとですね。相手も当然あるので、しっかり分析、スカウティングをして、こういうところにスペースが空きやすいから突いていこうとか。そうしたらこういう反応をしそうだから、こういう反応をしてきたらこういうことが起きるよと、いつも順序立てて話をしています」