ある選手が「采配ミスです」と断言すれば、別の選手は「見ている人みんなが分かったと思う」と、怒りで顔を紅潮させる。それほどカイオのパフォーマンスはひどかった。
59分にピッチに入ってからシュート4本を放ったが、いずれも強引に足を振り抜いたに過ぎない。パスを受ければトラップが大きくなってラインを割り、速攻の場面ではボールコントロールが乱れてチャンスをフイにする。前がかりになる相手に対し、カウンターの脅威を与える狙いで起用したのだろうが、連続して簡単にボールを失ってしまい、まるで逆効果。逃げ切ろうとするチームメートの足を引っ張り、敵に塩を送る存在となってしまった。
とはいえ、カイオのパフォーマンスがこのところ低調だったのは、先のJ1・1st第12節・横浜FM戦(1◯0)を見れば明らかだった。その試合は、なんとか勝ち切ることができたが、自陣近くでボールを失い、相手の2次攻撃、3次攻撃を誘発していれば、いずれこうした結果を招くことは、ある程度予想がついていた。それでもこの湘南戦でカイオを起用した石井監督の責任は重い。
監督としては、カイオに名誉挽回のチャンスを与えたのかもしれないが、チームオーダーを守れない選手がいては戦えない。むしろ、組織として何を大切にするかが不明瞭となり、2試合連続で同じようなミスを犯したカイオに対して、チームメートが不信感を抱いても不思議はない。プラスどころか今後の戦いに影響しかねないマイナス要素を招く可能性も生まれてしまった。
「優しい監督だから」とある選手が言った。それが石井監督の良さなのは、誰もが認めるところだろう。確かに、監督の優しさに応えようとした選手が奮起して勝つ試合もあるかもしれないが、優しければ勝てるわけではない。大事なのは、選手がどういう状態にあるのかを見極める目だ。そこで見誤っていては、勝てる試合も勝てない。 (田中 滋)