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[松本]「松本サポーターとアルウィンの力は本当に大きかった」反町 康治監督(松本山雅FC)/インタビュー①

2016/5/25 11:30

いまのJ2はとにかく必死なチームが多い

―早いモノで2016年のリーグ戦も3分の1が終わろうとしています。この序盤戦を振り返ってどのような感想をお持ちですか?
「戦術的な部分の準備期間が短かった、という言い方になるのかもしれないけど、開幕直後はチームの形が見えてこない部分はあった。その意味では良い入り方はできなかったけど、ここにきて安定した試合ができるようになってきた。チームとして目指しているモノがゲームの中でも見え始めてきたのではないかな」

―チームとして目指しているモノとは、今季から新たに取り組んでいる「自分たちで主体的にボールを動かして、主導権をとる」というスタイルですね。
「そうだね。守備のところは昨季からあまり変えてはいないけど、攻撃に関しては手を加えている部分がある。昨季J1の舞台でやってきて感じたことを生かすために、自分たちで主体的にボールを動かしてスペースをうまく活用しながら、チャンスを作って結果に結び付けるというところだね」

―新スタイルの習得は一朝一夕にはいかないと思いますが、ここまでの試合を振り返ると、ある程度の成果は出てきたように感じます。
「まだ全部が披露できているわけではないし、相手があってのことではあるけれど、確かに成果としてはかなり上がってきたと思う。やはり前線に高崎が加入(4月1日に鹿島から期限付き移籍加入)したことは大きい。いまやろうとしているスタイルでは、ポストプレーをするだけでもダメだし、スペースランだけしていてもダメ。前線でしっかり時間を作ることも必要だし、われわれは重心が後ろのディフェンスはしないチームなので、前線からのプレッシングも必要になる。彼はいろいろなことができる万能型なので、良さは出せていると思う」

―FWや左ウイングバックなど同ポジションに負傷者が頻発している点は想定外だったのではありませんか?
「でも、12年の就任1年目に比べたら選手層も厚くなっているので、そういうことは言えない。昔は抱えている選手数も多かったけど、選手のレベルによってチームを分けてトレーニングしていた。でも、今年はみんな高いレベルにあるから、そんなことをする必要がない」

―ここからチームのさらなる浮上のためには何が必要になるでしょうか?
「ブレることなくやっていくことが大事ではないか。最初から最後まで順風満帆にいくことなんてあり得ないのは分かっているけれど、そこで迷ってはいけない。われわれらしいひたむきさや最後まで走り切るところ、フルパワーを出すところなどの伝統的な部分と、新たに戦術的にチャレンジしていることを並行して続けていけるかだ」

―新スタイルはあくまでも、これまでのスタイルに加えるモノだということですね。
「そこなんだよね。新しいモノを取り込んで古いモノを捨てるというのも、一つのカルチャーなのかもしれない。だけどサッカー文化においては、これまで築き上げてきたモノに上積みをしていくという考えが大事。確かに走れるだけでは限界があるかもしれないけど、走れてなおかつうまいチームになれば鬼に金棒。うまいだけでもいけない。われわれよりもうまいチームはたくさんあるけれど、だからといって強いわけでも勝てるわけでもない」

―ボール支配率も今季ここまではリーグ上位を維持しています。
「それにこだわっているわけではないけどね。繰り返しになるが、ボール支配率が高いから勝てるわけではない。そういう意味でボールをポゼッションしながら相手のスキを突けているのが、今季の山口だ。何のためのポゼッションかということが非常に洗練されている。得点場面を見ても、GKと1対1の場面を多く作り出している。バルセロナに似ているよ。そこまで到達するのに1年2年と時間をかけているはずだけど、ある意味われわれはそれを1カ月2カ月でやろうとしている。時間がかかるのは事実だけど、少しずつ形になり始めている」

―2年ぶりのJ2の舞台となりますが、J2リーグ全体としてはどのような印象を受けていますか?
「基本的に大きくは変わっていないけど、とにかく必死なチームが多い。J3への降格制度ができてからはすべてのチームが必死になっているという印象はあるし、明確なスタイルを持つチームも増えている。それに、以前に比べてチーム間の実力差はなくなってきた。J1から落ちてきたチームが絶対的な強さを見せているかというと、決してそうではないから。資金面ではC大阪や千葉、京都のほうがわれわれのチームよりも上だし、クラブ運営のためのいろいろなノウハウも持ち合わせている。しかし、われわれもJ1を経験しているチームになったわけだから、現場だけではなく、クラブとしてもそういう相手と競争しないといけない。
 ありがたいのは、J2に降格しても本当に大勢のファンやサポーターが日々の練習なり試合なりに来てくれること。アウェイの愛媛戦(第10節・0△0)には遠隔地にもかかわらず約600名、東京V戦(第12節・4○0)にも4,000名を超えるサポーターが駆け付けてくれた。J2に落ちたことでサポーターの足が遠のいてしまうと難しくなるけど、松本のサポーターは仕事をやりやすくしてくれている。声を枯らして応援してくれる皆さんには本当に感謝しています」

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