得意の形で松本がワンチャンスをものにする
公式データを紐解けば、どのような試合だったのかを辿ることができる。今節のシュート数は松本の8本に対し町田は6本と、お互いにこれまでの試合に比べると少ない。戦前から堅い展開が予想された松本と町田の上位対決は、ワンチャンスを生かした松本が勝利を手にした。
前半は重苦しい展開となる。本来ならばボールをつなぎながらしかけたいホームチームだったが、[4-4-2]のコンパクトなラインを敷く町田に苦しめられ、なかなか前へボールを運べない。結局選択肢を自ら狭めて、敵陣目がけての長いボールを蹴る展開になり、飯田は「前半からロングボールに頼ってしまった」と唇を噛んだ。しかし、ハーフタイムに指揮官から「ミスを恐れるな」と活を入れられ前向きになった松本は、持ち直すことに成功する。
試合が動いたのは60分。ショートコーナーからボールを受けた工藤がファーサイドにクロスを上げると、そこに飛び込んだのは飯田。「狙っているところにボールが来た」と練習時からの想定どおりの形だと強調。ほぼフリーの状態でヘディングシュートを叩き込んで、ついに均衡を破る。1点ビハインドの町田ももちろんこのままでは終わらず、重松、久木田と前線に新たな選手を投入し、チームをリフレッシュして攻勢をしかける。26.4℃という気温以上の暑さもピッチ上の選手たちを苦しめたが、それでも松本は最後まで誰も足を止めなかった。
この日の松本は、開幕前から取り組んできたポゼッションサッカーは必ずしもうまくいかなかったが、誰もがチームのために為すべきことを徹底。その姿勢が、サッカーの神様を微笑ませた。(多岐 太宿)