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ピッチにひざをつき、立ち上がれない選手がいた。天を仰ぎ、涙を流す者もいた。「受け入れがたい結末」(城福監督)。指揮官の表情も、憔悴し切っていた。
もはや後半途中からは、守り切るしかなかった。ターニングポイントは、3枚目のカードとして丸山を投入した場面。ラスト5分強、最後は守備で耐え抜くというメッセージとともに布陣を5バックに変えた。しかし、これが相手の攻撃を助長させてしまう。すでに交代しベンチで戦況を見つめていた水沼が冷静な視点で語る。「それまでサイドにプレッシャーが掛かっていたところが、最後はあやふやになってしまった」。
押し込まれながらも粘り強く続けたサイドへのプレスが、5バックへの変更で後ろに人数を掛けた関係で弱まった。最後は上海上港に好きなようにボールを放り込まれていく。そして失点もゴール前の混戦から生まれてしまった。完全に采配は裏目に出た。
とはいえ、それは結果論でもある。仮に5バックが最後まで守り抜いていたら、その起用法は賞賛されていただろう。結局、そこに明確な正解はない。「“たられば”の話はすべて私が受け止める」(城福監督)。唯一言えることは、プロの世界では結果を得られなかった時点で、その方法は失敗とみなされるということである。
より根源的な敗因は、もっとシンプルである。主将の森重が絞り出した一言。「単純に、力がなかった」。それがすべてである。攻撃力の違いにも顕著に表れているように、両者の力量には差があった。第1戦(2●1)、FC東京は何とか「チームの最大値を発揮した」(城福監督)ことで勝利を手にした。しかし、それは毎試合続けられるような容易いプレーではない。満を持して攻撃力を発揮してきた上海上港に対して、失点は1点のみだが、90分間圧倒され続けたという事実は重い。
「勝ち切れない。そう毎年話してきて、またここで言わないといけないことが悔しい。自分自身も含めてまだまだ甘い」。沈黙のままバスに乗り込む選手もいる中、森重は気丈にこう話した。主将が痛感した現実。それは2度目のACLで青赤が突き付けられた、アジアでの現在地でもあった。(西川結城)