1st第7節・横浜FM戦(1●5)、第10節・神戸戦(1●4)のように大差で敗れることもある磐田。失点数は『21』と下から数えたほうが早く(J1で15番目)、得失点差はトップ10にいるチームの中で唯一のマイナス。一見すると不安定なチームがなぜ一ケタ順位にいるのか。それは、強豪から勝ち点を稼いでいることが一因として挙げられる。浦和や広島から勝ち点3を奪い、第11節・鹿島戦は1-1で引き分けたものの、勝利の可能性を十分に感じさせた。リーグ優勝を狙う猛者と渡り合えているのは、決して偶然ではない。
J2で戦った相手の多くは、磐田の良さを消そうとしてきた。一方、J1は名波監督曰く「サッカーをしてくる」チームが多いため、戦い方によっては自分たちのストロングポイントも発揮しやすくなる。もちろん、J2では考えられなかったタイミングでパスを通され、失点することもある。それでも、陣形をコンパクトに保ち、相手の組み立てに対してしっかりスライドしながらポジションを微調整することで綻びを埋めていくことができている。さらに名波監督は、選手たちに「逃げるな」と発破をかけることがしばしばある。格上に対して気持ちで負けることを指揮官は絶対に許さない。そうした姿勢は、高く設定されるディフェンスラインに象徴される。彼らが勇気を持って押し上げるからこそ、強豪と伍して戦うために最も重要な“コンパクトな陣形”を形成することができる。
今節も川崎Fにボールを動かされるのは分かっている。名波監督は川崎Fを「遊びのないチーム」と表現するが、これは磐田の選手を休ませることなく一気にゴールへ向かってくるという意味だ。中村憲剛、大久保のホットラインを消しただけでどうにかなる相手ではないが、まずは彼らを自由にさせないことを意識すべきだろう。(青木務)