5月に入って一度も勝てていなかった。状況を変えるべく、清水は試合ごとにメンバーを大幅に変更するなど試行錯誤を続けた。しかし、思うような結果が出ない。そうなると、周囲は調子の良かった序盤戦を思い返してしまう。開幕から3戦無失点、第4節・札幌戦(0●2)で今季初の失点を喫したが、その後2試合連続で完封勝利を演じている。その守備の中心にはGK西部の姿があったことに思い至る。そうして、いつしか“西部待望論”が持ち上がっていた。
第6節・熊本戦(2◯0)で右大腿直筋肉離れを起こして戦列を離れていた西部は、先週完全合流し、今節の出場に希望が見えていた。これで、すべての問題が解決すると思った矢先、試合前日の練習に西部の姿はなかった。経過が思わしくなく、今節の出場はドクターストップがかかったのだ。
ただ、出場できない代わりに気持ちだけは吹き込んでいた。西部が音頭を取り、練習後に選手だけの青空ミーティングを敢行。選手たちは本音をぶつけ合った。それが8-0という結果につながったと考えるのは早計かもしれない。しかし、村田が「みんなが一つの目標に向かって試合に臨めた」と話したように、気持ちを整理するためには大きな役割を果たした。
西部不在で痛感したその存在感は、一つの行動で再び感じることになった。と同時に、西部抜きでも戦える集団であるということを証明したのは自信にもつながる。清水は5月最後の試合で反撃の狼煙を上げ、6月の5試合で上位浮上を狙う。(田中芳樹)