前節、10試合ぶりの勝利を得て、暗いトンネルから脱した東京Vに対し、愛媛は現在3連敗中でまだトンネルの中。その状況の差は前半のプレーぶりからも垣間見えていた。
序盤こそお互いに慎重なプレーに徹したが、徐々に積極性を見せて相手を追い込んだのは東京V。随所で危険な縦パスを入れながら、果敢にゴールを目指すという方向性がハッキリすると、その旗印になったのがルーキーの井上。この若きボランチが前を向くと、恐れることなくドリブルで相手陣内に切り込み、チームにもその勢いは伝播。井上は36分に杉本へのスルーパスで決定機を演出すると、45分にもポストを叩くシュートを放った杉本へ絶妙なパス。後半立ち上がりには自ら鋭いミドルシュートを放つなど、愛媛ゴールを脅かし続けた。
そんな井上の若き才能を間近で見せられた愛媛守備陣は「あのクオリティーを見せられ、チームとしての意思統一ができていなくなっていた」(木山監督)と守備で後手に回り、チームとしてやりたかったコンパクトなライン形成から攻撃につなげることができず。選手交代で守備の穴をふさぐことはできたものの、攻勢をかけられるようになったのは試合終盤。数少ないチャンスの中で決め切ることは、トンネルの中にいるチームにとっては容易なことではなく、引き分けで4連敗を阻止することが精一杯だった。(松本隆志)