G大阪の黄金期、そしてJ2降格からの復活劇を支えてきたのは、紛れもなく遠藤保仁という希代のマルチプレーヤーだった。
しかし、G大阪では今季、“脱遠藤”に向けた胎動が徐々に始まっている。遠藤も今年1月で36歳。今野のように守備力に長けたボランチではないものの、バイタルエリアでは最低限の守備は不可欠。低調だったACLの戦いではボランチ・遠藤の守備力がチームの足かせになっていたのは紛れもない事実だった。
遠藤に全幅の信頼を置く長谷川監督も、その起用法に頭を悩ませていた。ACL第1節・水原三星戦(0△0)で遠藤をベンチに温存したのも、その守備力を懸念したがゆえ。「ヤット(遠藤)には前目で自由にやらせてあげたい」と話していた指揮官だったが、丹羽の戦線離脱がその青写真を狂わせることになった。
「いまは自分たち探しの状態」とアデミウソンの適正ポジションを探る中で、長谷川監督は遠藤をトップ下に配置。J1・1st第12節・磐田戦(2○1)で見事に決勝ゴールを叩き出した背番号7に、指揮官は「さすがヤットさんという試合だった」と賛辞を贈った。確かに遠藤は抜群の戦術眼でスペースを作り出し、前線に流動性を生み出すことができる。しかしその一方で、敵陣深くでの“オン・ザ・ボール”に限界があるのも事実。遠藤のトップ下起用への対策が進んだときに、その置き場所はまたしても悩みどころになるはずだ。「これからも彼の力が必要になる」と指揮官は語るが、パフォーマンス次第では今後も“脱遠藤”に踏み切る試合があるだろう。
例年どおり尻上がりに調子を上げるのか、それとも、そのときのコンディションによってパフォーマンスが左右されてしまうのか―。遠藤をめぐる指揮官の試行錯誤が、今季のチームの浮沈を左右する。(下薗昌記)