■ヴィッセル神戸
屈辱の記憶を払しょくする舞台の到来
松村が絶好調だ。13日に実施した控え組中心の練習試合(vs神戸U-18)で4ゴールと大爆発。さまざまな得点パターンを披露し、リーグ戦出場へ大きくアピールした。その松村は「ベンチで見ながらでも相手のスキをうかがって、良い形でゲームに入りたい」と闘志をたぎらせる。さらに、本来は攻撃的ポジションの増山が右SBで出場し、“オプション”の可能性を探る取り組みも見られた。増山は「やるべきことは変わらない」と、まずは出場機会の獲得に照準を合わせた。試合への出場に意欲を見せる控え組が、エネルギッシュにチーム力を底上げしている。
今節は鹿島をホームに迎える。前節の広島戦(1△1)、最終節・浦和戦を含めた“強豪3連戦”の二つ目だ。広島戦では互いの攻守がしのぎを削る好ゲームを披露したが、勝ち切りたかったのが本音だろう。現在暫定9位につける神戸にとって、相手が優勝争い真っただ中の強豪といえども勝ち点3を積み上げて一つでも順位を上げたい一戦となる。ボランチの藤田は「同じ[4-4-2]なぶん、個人的にやりやすさはある」としつつ、「広島戦のような気持ちで試合に入ればおもしろい試合ができる」とチーム戦術の具現化に強い自信をのぞかせ、鹿島戦への意気込みを語った。
神戸の戦い方が大きく変化することはないだろう。[4-4-2]のシステムでコンパクトな守備陣形を敷き、できるだけ高い位置でのボール奪取を狙い、長短のパスを駆使して素早くスペースを突く。鹿島の速い攻守の切り替えに後手に回ることは厳禁だ。さまざまな攻め手を持つ鹿島に惑わされることなく、統一感を持って適切な距離感を維持したい。また、広島戦ではCK時の守備の課題が浮き彫りにもなった。三原は「味方と話してうまく対応したい」と改善に意欲を見せている。昨季、鹿島にはナビスコカップの準決勝を含めた3連戦で3連敗。屈辱の記憶を払しょくする舞台の到来を、神戸は武者震いを抑えて待つ。(小野 慶太)
■鹿島アントラーズ
状態は抜群。チームには良い緊張感が流れる
前節、浦和から会心の勝利を奪い(2◯0)、優勝争いに生き残ることができた。しかし、それをムダにしないためにも、残り2試合を勝たなければ意味がない。選手たちはその重要性をそろって口にした。
2試合連続で無失点を続ける曽ケ端は、大一番を制したことでチームが一歩成長したことを認めながらも、「つなげていけないことには前節の勝ちも生かされないし、無意味なことになってしまう。この二つ(神戸戦と1st最終節の福岡戦)は大事だと思う」と話す。「どんどん成長していくのが一番なので。ああいう大舞台を戦ってさらに良い試合ができればいい」とは西。「あの試合によって、というよりはこれから」と続け、浦和戦の勝利よりも残された2試合で勝つことが、真の意味での成長につながると強調した。
勝たなければいけない状況が続きながらも、チームの雰囲気はすこぶる良い。勝利への重圧に押しつぶされることなく、目の前の試合に集中する良い緊張感が流れている。そんな状況を「幸せなこと」と土居は言う。「昨季の1stステージはこういう形にならなかったし、2ndステージでチームは盛り返したけど、個人的にはけがをして優勝争いに加わることができなかった。けがが治ってサッカーができる幸せと優勝争いができている幸せを感じている」。
勝っても逆転優勝できるかどうかは分からない。しかし、優勝という結果はあとから付いてくるもの。どうやって試合に臨めばいいかは、ベテラン勢が身をもって手本を示している。それは数多くのタイトルを獲得してきたクラブだからこそなせる業だ。
今節相まみえる神戸は、今季のナビスコカップ第2節でも対戦し1-4と大敗。ラクな相手ではなく、両外国籍選手を止めなければ勝利はおぼつかない。昨季までとは違うことを一度は示した。しかし、優勝にはこれを二度、三度と続けていって初めて手が届く。まだ息をつくタイミングではない。(田中 滋)