―今季のご自身の出来についてはどうでしょうか?横浜FM戦で4年連続の二ケタ得点を達成しました。
「今季は開幕戦からずっと足裏の痛みに悩まされていて、ようやく治ってきたかなという感じです。完璧な状態でなく足がすごく痛い中でプレーしていました。足裏が痛いと踏ん張れないし、走るのも痛い。靴をはくのも痛かったですね。だけど、休みたくはなかった。だから『どうしようかな』と思いながらプレーを続けてきました。もう走るのも大丈夫になってきたし、痛みはほとんど気にならならないです。良い状態になってきたと思います」
―プレーをしていればアドレナリンが出て痛みを忘れると言いますが…。
「全然痛かったですね(笑)。めちゃくちゃ痛かった。でも、本当に休みたくなかった。そもそも休んでいたらいまほど得点は取れていないと思います。でもそれは昔から。けがをして自分が出場しなかったら、そのままチームの成績が落ち続けるのではないかと不安になってしまうので」
―大久保選手は毎年各チームから警戒されていますが、それでも得点を取り続けています。その要因は?
「いくらオレがどうやってくるというのが分かっていても、思ったとおりにDFも動けるものでもないですから。オレをマークするDFもあそこにボールがあるときはボールしか見ないというようなことが体に染み付いていたりします。それにいくらオレを研究しても、パターンでゴール前に入っているわけではないので」
―大久保選手は得点を取れるところに“常にいる”という印象があります。
「最初は味方をしっかり見て、ボールの蹴り方、ボールの入れ方を見てゴール前に入って行きます。それで“ここにいれば決められる”というところに入って行くんです。そういうゴールも、実は川崎Fに来てから身に付きました。オレはそれまでクロスに対していまみたいに中に入っていくことはしなかったんです。なぜかというと、あれは点で合わせないとゴールにならないし、オフサイドになる可能性もある。だから、あのファーのところに入って行くのは『もったいない』と思っていました。だから、昔はクロスをマイナスでもらうことばかり考えていました。ただ、そうするとほとんどボールは来ないし、相手ボランチもマークに下がってくるし、ゴールも入らない。それでいまの形にしてからは、得点が奪えるようになりました」
―昔はドリブルから相手DFをかわしてシュートを放つ場面も多かったですよね。
「キレキレでしたからね。その勢いしかなかったんですよ、バカだったから(笑)。その勢いだけでやっていたから周りも見えていないし、ボールを取られることも多かった。いまはスピードを上げずにタイミングで行くからパスもできるし、周りも見えているからキープもできる。いまは無理してドリブルで行かないし、行けないからね(笑)。いまのオレは一瞬で勝負をしています」
―先日34歳の誕生日(6月9日)を迎えました。プレースタイルの変化は年齢とも関係があるのでしょうか?
「プレースタイルは変わっていると思いますけど、そこはどうでしょう。自分としては衰えているとは思っていません」
―大久保選手といえばゴール前での要求が強いイメージがあります。特に川崎Fではサイドからのクロスが合わなかったときにゴールポストを叩いて仲間に強く要求するシーンが印象的です。
「そこは本当に合わせていかないと(苦笑)。クロスを上げるときにオレだけを見ていたらそれは問題だし、オレだけではなく、違う選手が入ったとしてもクロスが合わない。あれだけサイドを崩せるのだから、そこは改善していかないといけないと思います。それが横浜FM戦でも何本かありました。一つでもクロスが合えばラクに勝てていた試合でした。オレ自身も決して『オレが、オレが』という選手ではないから。それだったらそもそもパスなんか出しません。でも、周りに強く要求することでそう見えてしまっているんでしょうね。ただ、それぐらい要求をしないとここまで点は取れていないと思います。いい子ちゃんだったら166点も取れないですよ」
―自分本位になり過ぎても、点は取れないと。
「絶対に取れないと思います。『オレが、オレが』という選手はDFにとっては抑えるのが簡単ですから。『あ、コイツはパスを出さんのや』と思うので、プレーも読みやすい。パスを出すから相手も『どっちだ!?』となって、そこからドリブルをしてはがせたり、シュートを打てたりします。何をするのか分からない選手でないと得点は奪えないと思います」
―横浜FM戦も決めましたが今季はPKを全部決めていますね。
「昔はコロコロPKとかも蹴っていましたけど、蹴り方を変えました。神戸にいたときは『ここ』と決めたコースに蹴っていましたが、それだとコースを読んで飛ぶGKだと、コースが合ってしまえば完璧に止められてしまう。それですごく後悔をしたことがあったので…」
―そんな経験があったんですね。
「ありました。その相手がマリノスだったんです。で、GKもこの前と同じで榎本哲也でした。それをこの前の試合でふと思い出しました。PKを蹴ろうと思ってボールを持ったときに『あれ、あのときもそういえば榎本だったな…』と。あのときはドンピシャにコースが合って止められてしまいました。ただ、ドンピシャで合うということは、『相手が先にコースを読んで飛ぶタイプなんだな』と思ったんです。だから相手の動きを見て、逆を突いて決めることができました」