5試合ぶりにゴールを奪った歓喜も束の間、後半に3失点。浦和は1stステージ優勝の可能性が消える3連敗を喫し、試合後には怒りの収まらないサポーターが帰路に就く選手バスを待ち構える事態となった。
記者会見に臨んだペトロヴィッチ監督は最初、冷静に試合を振り返った。「両チームが素晴らしい試合をした、素晴らしい内容のゲームだった」、「(64分に)失点するまでは狙いとすることが出せた非常に良いゲームだった」。そして、「2-2に追い付かれてからはわれわれの選手たちは少し冷静さを失ってしまった」。落ち着いて敗因も口にしたが、ここが5年半を過ごしたエディオンスタジアムの会見場であったことも影響したのだろう。自分をよく知る広島のメディアも多くいる前で、ペトロヴィッチ監督は所信表明演説を繰り広げた。
「われわれのやっているサッカーはモダンで、進んでいる方向性は間違いない。われわれのやっていることは最先端で、これからサッカーのトレンドが向かう方向に間違いなく向いているはずだ」。自ら作り上げてきたチームへの自負を語り、「だからこそ、結果が出ないからといって私自身は曲げたりしない。私はこのサッカーをやり続ける。苦い過去の経験だが、広島時代には降格という厳しい結果も味わった。しかし、それでもボールをつなぎ、攻撃的な戦い方を貫いてきた。この世の中に解雇されない監督はいないと思う。ただ、私が監督として持っている哲学は、自分の考えをやり通すことだ」。監督としての信念を口にしていく姿は、大きな重圧に押しつぶされそうな自分を懸命に奮い立たせているようにも見えた。
連戦の中でも自分たちのサッカーを体現して広島を圧倒した60分過ぎまでの姿も、セットプレーから失点して平静でいられなくなりミスから失点を重ねたナイーブな姿も、どちらも懐かしいペトロヴィッチ監督のサッカーだった。そして、ミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)はミシャであり続けている。広島にとっては、いろいろな意味で懐かしさを感じさせる記者会見だった。(寺田 弘幸)