4月に発生した熊本地震から丸2カ月。チームはこの間、2週間あまりの活動休止期間と自主トレーニングなどを経て、5月15日にリーグ戦に復帰。当初は勝てない試合が続いたが、第16節・岡山戦(1●2)で復帰後初ゴール、第17節・金沢戦(5◯2)で復帰後初勝利、そして今節の讃岐戦で復帰後初完封と着実にその歩みを進めてきた。4連敗のあとは3戦無敗で、「シーズン当初のチーム状態の良さが戻ってきたか?」と問われた清川浩行監督は、それを肯定した上で、一人ひとりの頑張りをチームに落とし込めるようになった点をその要因に挙げた。また先週末にJリーグから発表されたとおり、一部制限付きではあるものの、7月からはようやく本来の本拠地である『うまかな・よかなスタジアム』でホームゲームを戦えることになった。
益城町出身で実家が被災した選手たちも、家族も含め新たな生活拠点は確保されており、トレーニングも以前と同じように問題なく行えている。今後、リーグから離れていた間の5試合がミッドウィークに入ってくることで、体力的にもハードな戦いを強いられること、スタジアムの使用制限によって入場料収入の減少が避けられないことなどを除けば、チーム周辺はほぼ地震前の状態に戻ってきたと言ってもいい状況ではある。
しかし、熊本県全体で見れば復興への道のりはまだまだ遠い。報道されているように熊本城の復元には数十年単位の時間と350億円もの費用が必要とされ、阿蘇方面への国道は迂回、鉄道は復旧の見とおしが立たず、観光業や農林業の損失は莫大だ。さらに、最も被害の大きかった益城町では倒壊した家屋の処理も進まず、いまだ避難生活を余儀なくされている人が熊本県全体で約6千人もいる状況。部分的に元に戻ってきた面もあるからこそ、そうでない地域や問題との格差が大きく開き始めている。これが地震から2カ月が経った熊本の実情である。
今季初得点を挙げた嶋田は試合後、何度も「益城町の皆さんのために」と口にした。ピッチで躍動し、結果を出すことで地元に元気や希望を与えるだけでなく、メディアをとおして現状を発信し続けることもまた、彼らには求められている。(井芹 貴志)