Photo: Atsushi Tokumaru
優勝が目前に迫ってきた。あと一つ勝てば狙ってきたタイトルが手にできる。とはいえ、それは“ステージ”優勝という限定的なもの。国内17冠を制してきた鹿島とすれば、その数が増えるわけでもないステージ優勝に、価値を見いだせないのではと、捉える向きもあるが、それは違う。
確かに、歴史と伝統を紡いで来たクラブとしてはそれが当てはまるかもしれない。しかし、いまのチームは違う。過去の実績が見せる常勝の幻影に悩み、比較され、負け続けてきたのが彼らなのだ。
始まりは14年シーズンのJ1リーグ戦。最終節の鳥栖戦、2点差以上という条件付きではあったものの、勝てばリーグ制覇も可能だった試合で鳴かず飛ばず。まったく良いところがなく0-1で鳥栖に敗れた。15年にはACLで苦杯を舐める。勝てばラウンド16進出が決まるホームでのFCソウル戦。柴崎の劇的な同点ゴールがありながら、後半ロスタイムにセットプレーから失点し、試合後スタジアムには怒号が響いた。そして、監督交代があった昨季2ndステージでも勝負どころの湘南戦(2nd第15節・1●2)で敗れている。直後のナビスコカップでは見違えるパフォーマンスを見せたが、それまでは勝負が懸かった大一番やシーズンの分岐点となる試合をことごとく落としてきた選手が、いまのチームの中心を成している。勝ってきたのはクラブの歴史であり、彼らの歩みではない。
だからこそ、ステージ優勝に懸ける意気込みは強い。石井監督もただのステージ優勝ではなく「タイトルと捉えている」と明言する。チャンピオンシップの歴史は、2ndステージで優勝したチームが優位に立つことを示すが、ステージ制覇によって加わる自信の大きさは計り知れない。全力でタイトル奪取に向かう。(田中 滋)