Photo: Atsushi Tokumaru
試合後、選手以上にショックを受けていたのが城福監督である。前節の浦和戦(2●3)、指揮官が準備したのはコンパクトな[ 4-4-2]の陣形の下、相手のビルドアップの段階でミスを誘発し速攻をしかける戦術だった。
その戦術は、この二人のFWがいてこそ成立した。今季初めて先発からコンビを組んだ、ネイサン・バーンズとムリキ。「二人ともスピードを生かすことができるコンビ」とムリキ自身も語る2トップが、前線からの守備と、ボールを奪ったあとのスピーディーな仕掛けで躍動した。先制点も米本のボール奪取からバーンズ、ムリキと手数をかけずにフィニッシュまで持ち込んだ狙いどおりの形。ボールを保持する浦和だったが、のど元には常にムリキとバーンズという鋭利な刃物が突きつけられた状態だった。
FC東京にとってこの試合で唯一にして最大の武器であり、勝ちパターンだったこの戦術。しかし、城福監督は2点リードで試合時間を約30分残した状態で、バーンズに代えて前田を投入する。試合後に「バーンズを残しておく選択はなかったのか?」という質問が飛ぶほど、誰もが理解に苦しむ交代。指揮官は「ほかの選手の疲弊も考えないといけなかった」と言うが、この交代が勝負の分水嶺となった。
助っ人2トップが解消されたことで戦術は一変。速攻をなくしたFC東京は返す刀もなく、その後3失点を喫した。「自分たちの時間を作る必要があった」と城福監督は交代策について語ったが、間違いなく勝つためにはある程度の時間まで戦術を貫く我慢が必要だった。選手が疲弊していても大枠の戦術は機能し、明らかに相手もそれをイヤがっていた。完全に裏目に出た浦和戦。これで横浜FM戦は、指揮官の勝利に向けた采配力にも視線が注がれる。 (西川 結城)