クラブ史上最多の観客に見せた川崎Fの気概
「その影響はあったと思う」(谷口)
開始15分で2点を奪われた先週の福岡戦(1st第16節・2△2)の苦い経験がそうさせたのか、この日の川崎Fのゲームの入りは明らかに慎重だった。ステージ優勝のためには引き分け以上が絶対条件。そのプレッシャーが硬さを生んだのだろう。だが、22分に生まれた大塚の先制点がチームの肩にのしかかっていた重荷を下ろした。そして、それを生み出したのは、腰痛を抱えながらもこの試合に照準を合わせてピッチに帰ってきた背番号14だった。
家長のパスミスを拾い、ムダな動作を入れずに大塚へ放ったスルーパスはまさに彼の代名詞的なプレー。26,612人というクラブ史上最多の観客が集まった等々力を大いに沸かせると、56分にその歓喜は最高潮に達する。右サイドでのパス交換からペナルティーエリア内に侵入した中村が左足で放ったシュートは華麗な弧を描き、サイドネットに突き刺さった。「前節自分がいなかったことに責任を感じているし、今日に懸ける思いは強かった」(中村)。強い気持ちを自らのプレーと結果で示し、チームを勝利に導いた。
最低限の結果はつかみ取ったが、ステージ優勝には勝ち点が『1』足りなかった。やはり、前節の福岡戦が悔やまれる。ただ、試合が終わったあとにそのことを嘆く選手は誰一人としていなかった。それは、チームの大黒柱が勝利を呼び込み、置かれた状況下でできうる最高の試合を見せられたからにほかならない。そして、この1stステージ17試合でつかんだ手ごたえは、間違いなく2ndステージにつながっていくだろう。川崎Fは期待感と大きな希望を携えて、次なるステージへと向かっていく。(竹中 玲央奈)