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[鹿島]そこに小笠原がいるから/J1・1stステージ優勝特集

2016/6/27 11:30



 攻撃の要所をつぶし、相手に良い形を作らせない。1st最終節・福岡戦(2●0)も、決して良い内容の試合ではなかったが、小笠原の存在感は際立っていた。一人で中盤を切り盛りし、広大なスペースを走り回っていた数年前とは隔世の感がある。1stステージの優勝は、チーム全体の成長を感じさせるとともに、37歳になった小笠原の健在ぶりを印象付ける4カ月でもあった。
 それを物語るように、このところチーム内での主将の立ち位置は変わっている。常にチームの変化に目を配ってきた鈴木満常務取締役は、その微妙な変わり様を見守っていた。
「最近は、自分でワーッと言うのではなく、遠藤や西がいろいろ言っている中で、少し上からというか全体を見渡したところからフォローできるようになった」
 試合中に問題があると感じれば「どう思う?」と問いかける。ガーっと言われて萎縮してしまう傾向があった若い選手の性格に合わせ、中堅選手たちの言葉で沈む若手がいればうまくフォローした。 それでも要所では前に出るのは試合と同じ。ナビスコカップで敗退したあと、リーグ戦でも良い内容の試合から遠ざかるようになると、選手同士が意見交換できる場を作った。湘南では主将を務めていた永木は、「満男さん(小笠原)を中心に話し合いができることは、ほかのチームにないこと」と感じていた。
 苦しいときに立ち返る場所があること。一つにまとまれること。「それができるのが鹿島」と小笠原は言うが、まとまるために彼が果たす役割は大きい。「正直、満男さんが『大丈夫』と言えば、俺らは『大丈夫なんや』と思う」と昌子。困ったときに、チームが同じベクトルを向けるのも小笠原の存在あってこそ。なにしろ鈴木常務取締役でさえ「満男がいることで俺も安心する」と言うほどなのだ。
 世代交代の渦に呑まれた時期、小笠原の後継者を早急に見付けることが、鹿島復活のカギと思われた。しかし、時間は要したが、いまその脇を固めるように、若い選手が成長している。
「悪いときにお手上げですというのではなく、ちょっとやり方を変えてみたり、どうしないといけないのかを、もっともっとこのチームは覚えないといけない。一生懸命やるだけでは勝てない。そこらへんができるようになったときにもっとタイトルを積み重ねられるようになると思う」
 試合後、そう言って今後の課題を挙げた小笠原。この優勝で自信を付けた若手が成長していけば、次の黄金期の中心にもなお40番がいても何も不思議はない。(田中滋)

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