優勝にふさわしいチームが勝った。精神的にも戦術的にも、鹿島がほかよりも秀でていたね。1stステージで一番完成度が高く、安定したチームだった。失点が少ないながらも、決して“守りのチーム”ではないのも特徴だ。小笠原という親分がいて、若手も育っている。守るときに親分がいない福岡のようなチームは苦しい。4バックのバランスが悪くなったり、簡単なスルーパスが通ったりする。対して鹿島は前線から最終ラインまでコンセンサスが保たれていた。なおかつ、若手が伸びていて上積みがあるチームだ。喜び方を見ても、“和”があるのは明白。これらは優勝するチームの典型なんだ。
それはこれまで、プランを持ってクラブの歴史を築いてきたからだと言える。伝統、歴史というのはそういうもので、こうやって結果にも表れる。欧州のシーズンオフではあるが、内田篤人や大迫勇也といったOBが練習に参加しているという。そこには“自分たちのクラブ”という帰属意識が垣間見える。「いつでも遊びに来いよ」と、胸を張って移籍した選手に言えるクラブがJリーグにいくつあるか…。「オレのことをクビにしやがって」と選手に思われてはいないか。きちんと選手を育てている鹿島はさすがだ。
戦い方にしても鹿島の[4-4-2]にブレはないし、だからそのやり方を学んでいけば確かに成長できる。中高生には、鹿島の[4-4-2]を参考にしてほしいと思えるくらいの完成度がある。それに、もともとの価値として高くなかったカイオやブエノといった、有望な若いブラジル人選手に目を付けるところも大したものだ。強化部の仕事も良い。素直に見習うべきクラブになっている。
風間八宏監督の川崎Fは攻撃に自信を持っているけれど、どこかで変な失点をする。勝負に対して堅いのは、鹿島のほうだった。1st第16節・福岡戦(2△2)での中村憲剛の不在は大きかったが、勝てなかった。鹿島との差は、勝負に対しての堅さにある。鹿島も最終節では、二人の主力(昌子、カイオ)がいなかったというのに、穴がなかった。
2ndステージに入っても、鹿島はそう簡単に負けないだろう。ただ、ほかのチームが“鹿島つぶし”に入る。観点として、面白い部分はそこになる。
最後に。Jリーグに鹿島や広島、G大阪といったブレることなく伝統を築こうとしているクラブが増えていってほしい。そういったクラブの戦いは“濃い試合”になるし、サッカー文化も根付いていくからね。
優勝するチームを見ると、どうしてもそういうことを考えてしまう。(小見幸隆)