Photo: Atsushi Tokumaru
試合を観戦に訪れた内田篤人(シャルケ)は古巣のステージ優勝を見届けてうれしそうだった。そして、かつてリーグ3連覇を果たしたチームの中心選手として、次のような感想を漏らした。
「結果が出ることでもっと成長する。もっと強くなっていく。そこ(優勝へのカベ)を一個突き破れば、優勝できるチームになる。勝てないチームはいつも2位、そういう感じ。結果が先に出て、チームが強くなると思うんだけどね」
つまり、強くなれば勝てるのではない。勝つことで強くなるのだ。
内田が経験した3連覇も始めから約束されていたわけではなかった。07年、鹿島は他を圧倒する戦力を保持したわけではない。しかし、逆転優勝を果たしたことで選手は自信やプライドを身にまとい、タイトルへの欲望をさらに強くする。その結果の3連覇だった。「07年で優勝していなかったら、08年も優勝していない」とは強化部門の責任者である鈴木満常務取締役の言葉。それほどまでに、勝つことで得られるものは大きい。
その鈴木常務が、勝利の意義を分かりやすくたとえた。「負けるとさ、何も残らないんだよ。砂に書いた字が、波が来ると消えるみたいに」
勝者の称号はただ一つのクラブにしか許されない。2位以下には何も残されないのだ。だからこそ、鹿島は勝つことへ、タイトルへ執念を燃やす。
福岡戦のベンチ入り18人の中で、リーグ優勝の経験者は半数にも満たない5人。「これでまた強くなる」と鈴木常務は目を細めた。
試合後、選手にさっそく欲が出ていた。先制点を決めた山本は「もっともっと」と繰り返し、2点目を決めた土居も「気を抜いていられない」と表情を引き締める。目線はすでに2ndステージへ。
袖の星は増えない。しかし、胸に刻まれた自信とプライド。それがさらに鹿島を強くするだろう。(田中滋)