お互いに同じシステムを採用し、ハードワークとプレッシングの強さ、攻守の切り替えなど持ち味も同じ。それゆえにボールをつなぐことを得策としない考えは両指揮官ともに一致していた。リスクを回避すべく終始ロングボールを前線へと供給し、そこからのセカンドボールを激しく奪い合う展開が続いた。一瞬でもスキを見せればそこで勝敗が決するほどの緊張感を含んだ試合は、それはそれで見ごたえがあったが、52分に起こった愛媛GKと長崎の前線選手とのクロスプレーをめぐって一悶着が起こった。
そのプレーで最初に警告をもらった長崎FW佐藤はこの試合2回目の警告となり一旦は退場が命じられたが、主審は長崎からの猛抗議を受けて佐藤の退場を取り消す事態に。結果的にこの判定は正しいものだったが、両チームの主張に流されて審判団が混乱を招いたのは明らかだった。
そして、この混乱で生じた5分間のプレー中断が試合終了間際のドラマを生んだ。後半ロスタイムは7分。スコアレスドロー目前のその7分に差し掛かろうとしたとき、長崎がこの試合で唯一とも言える快心の決定機。良いタイミングで前線に入ったボールを途中交代で入った中村は迷うことなく右足を振り抜き、鋭い弾道が愛媛ゴールに突き刺さった。自身J初ゴールのゴラッソは劇的な幕切れを演出し、長崎が得意のアウェイで4試合ぶりの白星を挙げた。(松本 隆志)